忘れたいことばかり覚えているくせに大事な顔は少しぼやける #短歌
窓際のレースを揺らす夕凪にまだ現在形の猫が眠れる #短歌
洗いたてのシャツではなくて着なれてる布の匂いを選ぶ夕暮れ #短歌
自己肯定たぶん5分しか続かない だから朝焼けを信じてしまう #短歌
風に咲く光をひとつ抱くように歩けば街も花になりゆく #短歌
洗濯機まわる音だけ聞きながら返事じゃない夜を干している #短歌
さよならは何度聞いても初めてで慣れる方法だけ見つからない 短歌
忘れようとしても忘れられないね そういう人がたまにいるんだ #短歌
改札手を振る君の最後まで笑っていたい恋だからこそ #短歌
ありがとうなんて言われるその前に今日は定時で帰してください #短歌
改札を抜ける靴音ひとつぶん 朝はわたしをほどいてくれる #短歌
ラムネ色ひろがる空を吸い込めば胸の中まで朝になってく #短歌
風吹けば花も私も揺れるだけ答えはいつもやさしく遠い #短歌
考えるふりをしながら空を見た ほんとは君を忘れたかった #短歌
思い出は正確じゃないほうがいい きみを何度も好きになれるから #短歌
ベランダの鉢に降る雨それぞれの名前を持たぬ粒のままでいる #短歌
雨あがり水たまりには空があり急がなくても鳥は降りてくる #短歌
踏切の赤い時間を抱きしめる 待つことだけで咲く花もある #短歌
大丈夫と言えない日なら言わなくていいと思った夕方でした #短歌
洗濯の終わったあとのベランダで虫の気配と並んで涼む #短歌
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