絶滅を前提として語られる恋はどこかで宗教に似る #短歌
知らない本知らない雲が窓をゆく ソーダの泡みたいな時間 #短歌
人生に意味などなくていいようにテニスボールは遠くへ跳ねる #短歌
プロテインゆっくり溶かすシェイカーに朝焼け色の予感を入れる #短歌
石ころになりたい理由を訊けなくて大人たちはみな正解を言う #短歌
水槽の底に沈んだ光みたい その字のそばから夏が生まれる #短歌
あの夏の改札口へ戻れても切符のようにあなたはいない #短歌
駄菓子屋の前を何度も通るけどもう百円玉の温度が違う #短歌
窓辺にはまだ咲く場所があるように花瓶の水を替えた午後です #短歌
この街で生まれていたら違う名で呼ばれていたかもしれない午後 #短歌
風船を放すみたいに飲み込んだことばの影が空へほどける #短歌
好きなとこ欄を作れば溢れ出し結局ぜんぶと記入されてる #短歌
恋愛は解像度より先に来る だから世界は少し明るい #短歌
やわらかいタオルのことを考えるだけで少し救われる午後 #短歌
名も持たぬ草の揺れにも似たままであなたのぜんぶが風に含まれる #短歌
目覚ましを止めた記憶のその先が曇ったママのマグカップの朝 #短歌
洗面台ひかりを少しこぼしつつ昨日のつづきの顔をあらってる #短歌
未読だけ増えてゆくので朝と呼ぶ返信欄に白紙がひらく #短歌
冷蔵庫の灯りに触れているような朝を抱えたまま靴を履く #短歌
洗いたてシャツの袖からこぼれ出る朝をひとつずつ着せてあげたい #短歌
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