人生の大半は壮大な物語でなく疲れて歩く帰路かもしれない #短歌
誰からも褒められない日だったけど夜景の一部にはなれていた #短歌
埋まらないものがあるから人はまた誰かと同じ湯気を見ている #短歌
寂しいと言わずに済んだそれだけで会った意味なら十分あった #短歌
引き出しを開けっ放しにしたような笑顔のなかに夕焼けがある #短歌
机上には星屑みたいな消しゴムの欠片 世界を救う途中で 短歌
月あかり少し遅れて届くから信じることに似ている気がする #短歌
速度とは移動のことでなくたぶん信念が距離を越える速さだ #短歌
決済音と挨拶だけが交差する現代版の市場の風景 #短歌
0次会本番までに僕らがどれだけ薄まってゆくか実験みたいだ #短歌
水平線までは届かないことまで含めて今日の海は美しい #短歌
滴りの数だけ午後が進みゆき濡れたシャツだけ証人になる #短歌
あの夜ってどの夜だろう パンくずが急にさみしく見える正午に #短歌
ほんとうの夜になれない夜だからこぼれた霧も眠らせておく #短歌
雨あがりひとりぶんって言葉だけ夜をきれいに分けてしまった #短歌
塗り広げるための静かな青があり比喩のナイフは風だけを切る #短歌
わかるけどわからないとも言いたくてトースト1枚黙ってかじる #短歌
耳たぶにそっと硬い針を刺す きらきら光る傷みを連れて #短歌
まっさらな光のなかでくちづけをして昨日の嘘をなかったことに #短歌
冗談の形式でしか保存されない夜が確かに存在していた#短歌
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