言葉にはまだ火がなくて遠すぎる 説得力の種を探して #短歌
なんとなく大丈夫って言いながら遠くのほうへ行っちゃう感じ #短歌
準備など間に合わないと知りながらやらかい靴で今日に至ってる #短歌
異世界と繋がって手の「て」のあとの長い余白を管理する僕 #短歌
白樺の林をぬける風の音 祈るみたいに頁をめくる #短歌
横向いたら柴犬だ うれしいね あしたもずっとこうだといいね #短歌
まばたきの裏に火種を隠したまま やさしい闇を選びつづける #短歌
離せない理由をひとつずつ捨ててそれでも残るかたちがきみだ #短歌
指先の行き場をなくし宙に置く わたしの外で春が進んだ #短歌
やわらかい者だけ並べてみたけれど夜は最後にきちんと残る #短歌
空を含むほどにやさしくなりすぎて手放すことが上手になった #短歌
身も蓋もなかったファミレスの裏の自販機の冷たい光 #短歌
ひかり降る そこはだれかの夢だった 青い呼吸をそっと閉じるね #短歌
逆光を裂いて公園の軌道で行く飛ぶ透明な羽 #短歌
メンヘラじゃないよって笑うきみの目がすでに誰かを呪ってる夜 #短歌
ただいまと言えるほどでもないと場所に沈んでしまうぼくのかたち #短歌
なれなさを何度も指でなぞる癖 まだ消えきれず此処に触れてる #短歌
鍵穴にふれないままの指先で帰りの手順だけなぞってる #短歌
帰らない理由はひとつじゃないまま 靴のかたちで夜を保ってる #短歌
空白に火種をひとつ隠すたび物語だけ遠くへ燃える #短歌
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