届かないままでよかったその先で夜が静かに続いてしまう #短歌
沈默は燃えない火種ひそませて真実だけをあたためている #短歌
褒め言葉それも光の一つだという風に君の鎖骨の影を洗った #短歌
あと5分だけがこんなにあったかくて世界はちょっと遠くでいいや #短歌
ごめんねと言えないままであさになる 濁音ひとつ枕にのこし #短歌
きらきらのゲロを吐いたら宇宙(そら)になる あしたはぜんぶ光になあれ #短歌
この音が海になるならこの部屋で父と子をのせ静かに揺れる #短歌
乾かないことを選んだようにして朝の輪郭だけが先に立つ #短歌
ぬれたままの記憶がくれる重さごと朝の一歩を大事に置いた #短歌
乾かないことに理由を与えたくてきみの名前を一度だけ呼ぶ #短歌
ポケットの底に沈んだ春だけが現実よりも少しやわらかい #短歌
思い出の水分量を引きずってぼくは朝へと履かれていくよ #短歌
なれなかったことを抱いて透けてゆく 部屋のすみまでやさしく冷える #短歌
全然と言い切るたびに軽くなる説得力の抜け殻みたい #短歌
見つけてと書けないことが合図ならもう遅すぎるほど光ってる #短歌
「つかれたよ」と括弧に入れた時点でそれは発話ではなく編集である #短歌
戦争映画の応援上映にきてる ポップコーンのLが重たい #短歌
砂漠には水僕らには気休め痛み止めしかなくて夕日を待つ #短歌
空だけが更新される午後であり梯子はずっと旧いままだね #短歌
ヤバい成分入ってない?の「ヤバい」から逃げ切るための白濁のスープ #短歌
ちゃんときもちは伝えてほしいの「ちゃんと」を分解している午後三時 #短歌
ぴかぴかの卵の黄身をわる勇気 きみへの愛に似てて嬉しい #短歌
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