指先でふれればほどけそうだから闇にまかせて眠らせておく #短歌
同じもの食べた証拠みたいに沈黙だけがきれいに揃う #短歌
ケーキってさ夜のためにあるよね ポケットじゃなくおなかに入れる #短歌
やさしい匂いだけを連れていく まだ帰らない今日のほうへと #短歌
国ってさ壊れるとき音がするけど花びらはただ静かに落ちる #短歌
びしょぬれののままで笑った顔だけがちゃんとこの世に触れていたんだ #短歌
このままでいいと夜から言われてる 暗さのなかでちゃんと呼吸す #短歌
曇った指で触れればゆるやかにあなたの夜が肌へと変わる #短歌
本物かどうかを問う声のほうがすでに少し作り物めいてる #短歌
たたんだまま見せないいのちのこと 電話越しなら少し言えるね #短歌
拡大をやめるぼくらの現在は手のひらほどのぬくもりで足りる #短歌
外側の自分を回収するたびにどこまでがぼくか曖昧になる #短歌
ほんとうは要らない甘さ選びつつレシートだけが正しくのびる #短歌
終わりまで含めてひとつの夜として空の器を丁寧に置く 短歌
食べ物と並べるなよって言う人のとなりで温度だけを見ている #短歌
帰り道コインの数を確かめて使わなかった明日を連れてく #短歌
さわらないほうがいい気がしてるんだ このままならきれいでいられる #短歌
椅子ってねさびしくなるとすこし鳴く きみのかたちをまねしてゆれる #短歌
まばたきのようにひるがえる布たちが空の奥行きをそっと測ってる #短歌
しまえないままの音を連れてきて耳のあたりに春がとどまる #短歌
ログインしてコメントを確認・投稿する