どっちでもよかった気もしてるけど歩いたほうでいいことにする #短歌
受けとった形のままに返せずにポケットの中で重さを測る #短歌
水平線持ち歩くには軽すぎて桜はすぐに外へ出たがる #短歌
ひとつだけ選べと言われるたびに失うほうの数を数える #短歌
返らないこともひとつの応答で空白だけがやさしく満ちる #短歌
そのままでいいと言われたみたいだね 梯子は今日も空を見ている #短歌
歩くたびほどけてしまうやさしさを結びなおして朝へ出てゆく #短歌
追わぬままひらいた胸に風が満ち 円の名残をそっとほどいて #短歌
わけあえる未来みたいにパンを置く まだ触れてない朝のかたちで #短歌
ほどかれて空気に混ざるわざわざが部屋のかたちを少し変えてく #短歌
まだ眠る町のまんなか通る風 触れないままのブレーキが鳴る #短歌
やわらかな子音ばかりを選びつつ喉の奥にはまだ夜がある #短歌
立ちのぼる白さの奥にまばたいてきみのいない日やわらかく来る #短歌
忘れずにいるより先に朝が来て わたしの靴はまだやわらかい #短歌
まだすこし暗い指先そのままで朝の明るさに手をひたしてる #短歌
火の在処たしかめもせず触れながらわたしの花が崩れていった #短歌
軽さとは不確かさへの傾きで空を含めばなお遠ざかる #短歌
ポケットでくしゃりとなった春の息 きみのかたちをまだ離せない #短歌
見つけてと書けないままの指先にひらいた花のやさしいまぶしさ #短歌
知らない歌ばかり増えていく春にぼくはまだ口のかたちを探す #短歌
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