揺れたあと丸くひろがる静けさが夜を少しずつ増やしています #短歌
まだ少しあなたの色を持ったまま帰りの道で手をほどいてく #短歌
くちびるにまだやわらかな青があり春の途中を少しこぼした #短歌
言葉より先に夜風が触れてきて靴音だけがやさしく続く #短歌
言えなかったことのとなりで揺れているコップの夜に影が入った #短歌
まだそこにわたしの温度あった気がして空のかたちをそっと抱いた #短歌
祈りってたぶん誰かの体温が名前のかたちで残ることです #短歌
書き直す前の静けさ抱えつつまちがいのない夜を歩いた #短歌
まだ触れぬままで大事にしておいたはじまりだけのやわらかな空 #短歌
白さとはまだ書かれていない関係でぼくはそこから手を伸ばすだけ #短歌
待つことが主題の物語があり ぼくはそこに三十分いる #短歌
握りしめていたことだけが本当で空はあとから星を発明する #短歌
みずってねゆれても何も言わないね だからよるまでゆれてしまうね #短歌
まだ触れぬ明日の輪郭なぞるよう伏線だけを静かに置いた #短歌
ポケットにしまえない夜の理由たち 皿の白さでやっとほどける #短歌
生まれたばかりの騎士はまだ知らない 守るものなど風の向こうで #短歌
こぼれそうだから名前は置かないでポケットの闇だけ信じてる #短歌
ポケットにしまえないほど甘い夜 ケーキ半分まだあたたかい #短歌
国という物語が破れたあと 花びらだけが正しく落ちる #短歌
電気だけ消した静かなこの部屋でやさしい夜がふわり広がる #短歌
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