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2026年03月26日13:51

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3/24 春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪【前期】@府中市美術館

府中市美術館に初めて行ったのは、日記を検索するとどうも2009年のようだ。以降、気になる展覧会には古今東西に関わらず足を運んでいる。もちろん春の江戸絵画まつりにも。最初期の頃は、低予算でよくもまあこんなに面白い(キワモノ的な・失礼)マイナー絵師の作品をかき集めたものだと思ったが、金子信久氏の分析、切り口にすっかり江戸絵画ファンとなってしまった。その江戸絵画まつりも今年で最後だという。その最後が「長沢芦雪展」である、前評判からして高い。

それでもなるべく混雑しない、開催10日後の平日12時を狙う。が、入場券購入まで外までの長い列にびっくり。何分待ちになるのだろう?
申し訳ないが私は手帳保持者で直接会場へ。
会場内は、入場制限のおかげか混んでいない。牛歩ではあるが、最前列で見られるし、大きい作品は下がっても見ることができる。東博や先日のモネ展と比べたら雲泥の差。撮影できないというのも一因かも。

ただし、ショップでは「ろせつ犬」グッズが売り切れ続出らしい。私はポスカのみが目当てだったが売り切れもあった模様。

いつもと違うのは、作品リストは係員に申し出ないと貰えないこと。子供向け「ろせつ探検隊」のパンフももらえず、またクイズ形式ではないのか、全回答者に絵葉書プレゼントもない。いつものワークショップも、曜日を限定しての開催。とにかく混雑回避努めているようだ。



例年通りほとんどの作品が入れ替え。前期が蘆雪の子犬(ろせつ犬)をたっぷり、後期に代表作の串本・無量寺の龍虎図を中心に据える。蘆雪の子犬も無量寺の襖絵も、私は初見ではないが、好きなのでもちろん前後期みる予定。

それから、府中市美らしいキャプションにもいちいち頷く。
円山応挙の高弟でありながら、決して円山派とは言われない、奇想の絵師、蘆雪。
蘆雪の作品を描かれた年代順に見ていくのではなく、描き方の違いと何を表現したいかで読み解いていく。
描き方の違いは、写実をもとに技巧的にきっちりと描いた作品とダイナミック、ワイルドに描いたラフ作品の2種類に分けて、師の応挙と並べ比べたり、影響を受けたであろう禅画(白隠慧鶴や風外本高など)、南画(池大雅など)を展示したりの工夫がされていた。

また、何を表現したいかについては、そのモチーフである子供、動物、ファンタスティックな情景を挙げ、蘆雪の作品の真髄を紐解く。最後には、皆がお目当ての蘆雪犬。そこにも、子犬の絵の歴史の解説も欠かさない。
あまり美術に馴染みのない人は、うっかり全部蘆雪の絵だと思ってしまうかも、要注意。まあ、それでも楽しくかわいい絵を見るのには問題ないかも、だが。

https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2026_Rosetsu.html
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府中市美術館では2001年秋に「司馬江漢の絵画 西洋との接触、葛藤と確信」を開催し、その後、2005年の「百花の絵」以降、毎年春に江戸絵画を中心とする展覧会を開催してきました。都立府中の森公園の桜や若葉とともに春の風物詩としてお楽しみいただけたら、との願いもあり、途中から「春の江戸絵画まつり」と呼ぶようになりました。このシリーズは今回で幕を下ろしますが、シリーズに欠かせなかった画家の一人が、江戸時代中期の画家、長沢蘆雪です。
美術の魅力や価値は時代によって変わります。例えば伊藤若冲は、明治時代から根強い人気があった画家ですが、サイケデリックアートも流行していた1970年、辻惟雄氏の著書『奇想の系譜』によって、その鮮烈で奇異な表現が注目されました。また、2000年に京都国立博物館で開催された「没後200年 若冲」展を機に、コンピューターを使ったグラフィックや映像が普及した時代らしく、細密さや色彩の凄みに多くの人が魅了されるようになりました。そうして今日の若冲の人気が確立されたように思われます。
蘆雪も同様です。明治36年(1903)の藤岡作太郎の『近世絵画史』では、ときにアイディアと構成力は応挙を上回ると評価され、大勢いる応挙の弟子の中で呉春とともに真っ先に挙げられながらも、「覇気」が溢れ出てしまい応挙のような落ち着きや深みがない、と書かれています。ところが、辻氏の本ではその「覇気」が逆に奇想として注目され、一躍、日本美術のスターの一人になったのです。
そして21世紀。たくさんのキャラクターや動物が人気を集める時代にあって、蘆雪のもう一つの魅力が脚光を浴びるようになりました。それが「かわいい」です。子犬や動物、子どもたちを描いた蘆雪の作品は、見ているだけで胸が苦しくなるほど、愛おしさに溢れています。きっと大昔から、人々は小さなものやかわいいものに心を寄せてきたことでしょう。蘆雪はそうした心を一枚の絵画の中に表現し、江戸時代きっての「かわいいもの描き」となったのです。蘆雪の根っこにある禅の思想や、命あるものを慈しむ仏教の教えも見逃せません。
かわいいものに加えて、風景や人物、ファンタスティックな世界など、蘆雪の絵画は多彩です。東京で64年ぶりとなるこの蘆雪展では、春の江戸絵画まつりで注目してきた蘆雪のさまざまな創作を振り返りつつ、「21世紀の蘆雪」をお楽しみいただきたいと思います。



まず最初に、蘆雪らしからぬ初期の《鳳凰図》《松鶴図》が並ぶ。

1 蘆雪の造形 二つの世界

蘆雪の作品は、30代〜40代にかけて描かれたものが大半で、年号や年齢が入っていないものが多い。45歳で亡くなっているから仕方がないが、意外に短かった画業に少し驚く。

円山応挙《猛虎図》
応挙は、虎の毛皮丹念に写生し、絵にしたといわれているが
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長沢蘆雪《虎図》
蘆雪のこの虎も応挙に倣っている
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一方、蘆雪独特の描き方も散見できる。

全体画像がどうしても見つからなかったが《那智山瀑布図》は、和歌山・無量寺の襖絵を描いた折に実際旅したのではないかという。滝口の描き方が独特。
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《幽魂図》
一見するとポーズも髪かたちも応挙の幽霊図と同じだが、顔が大きく違う。応挙の幽霊は氷のように冷たい美女であるが、こちらは何か変。上唇が下唇より大きく歯が出ているので、唇を噛んでいるのだろう。瞼が腫れ上がり、上目遣いの瞳は生気なく小さな点で描かれている。恨みの顔に工夫が見られる。
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《楚蓮香図》
身体から芳香を放ち、その香りに誘われて蝶や蜂が舞い従ったという逸話がある唐代の美人。応挙も描いているが、蘆雪のは、着物の裾の衣紋が渦を巻いていて個性的、面白い
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《牧童笛吹図》
禅の教え「十牛図」を単独で描いたもの。蘆雪は禅宗への信仰も篤かったらしい。「平安蘆雪指画」と署名があるので、筆ではなく指で描いたもの。
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《鍾馗・蝦蟇図》
こちらはラフに描いた大きな絵。睨み合う鍾馗と蝦蟇、強風吹き荒れ、大迫力。
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ラフに描いた作品には、ヘタに描く禅画やわざとぎこちなく描く南画(文人画)の影響があるのではないかと見て、白隠慧鶴や瑞岡珍牛と蘆雪の達磨図を並べて展示、共通点を見出す。

禅画は、衆人に禅の教えを広めるためにわざとヘタウマに描くことが多く、愛らしいものが多い。
中国から渡り模写された虎の絵がなぜか猫のように可愛らしくユニークなのは、「猫と虎の違いは何か?猫は小さく、虎は猛獣だという、人間の基準はそもそも正しいものなのか?」という禅の問いかけに通じるからという。蘆雪の虎も愛すべきキャラクターが多い。

こちらは、風外本高《虎図屏風》(六曲一双、右隻の一部)
以前の江戸絵画まつりでブレークしたぶよぶよ蛙を描いた禅僧。親虎も可愛いが、子虎たちのユルイことと言ったら。
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ラフな絵の魅力は、人を驚かせ、楽しませる点だろうか。蘆雪はサービス精神があったのかも。

《林和靖図》
北宋の詩人・林和靖は鶴を飼い慣らしたことでも知られる。通常は卓上に文房四宝が置かれているのだが、蘆雪の絵では巻物は巻いたまま酒を飲んで、ぼけーっとしている。頭上に飛ぶ鶴は、デフォルメされた蘆雪特有のユル鶴。
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2 芦雪が表現したもの
動物、子供、ファンタスティックな情景は蘆雪が好んで描いた画題。

《蓬莱山》
蓬莱山へ続く道がクネクネとしており、右下方に亀がゾロゾロと隊列を成して向かっているところが面白い
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《老子図》
国の乱れに失望して牛の背に乗って西域へ向かう老子。やや猫背に無表情の老子と後ろ姿の牛にガッカリ感が半端ない。《林和靖図》同様、微妙な趣きがたまらん。たらしこみの牛の描き方が見事。
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雀、鶏など小禽にも、人のように、個性や感情を宿し、互いに意思を伝え合い暮らすさまを描き出す。
《雀図》
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《鶏親子図》(部分)
会話が聞こえてきそう。掛け軸で、上部には枝垂れ桜
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蛸にさえも。《蛸と蓮華図》
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《獅子の子落とし図》
ことわざ「獅子の子落とし」。必死に這いあがろうとする子、厳しいながらもそれを心配そうに見守る母獅子。空間処理がすごい。
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《猫図》
「ろせつ犬」のようなキャラが猫に生まれなかったのは、猫好きとしては残念。他の猫も同じ額の柄。これはこれで好きだが。
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書画の勉強中に遊びモードに入ってしまった童子を描く《唐子遊図》(軸装)《唐子遊図屏風》(六曲一隻)は大好きな作品だが、2023年「江戸絵画お絵描き教室」で紹介したから割愛。
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《郝大通図》
南宋の人・郝大通(かくだいつう)は子供達が小石を頭の上に塔のように積み上げて「壊すな、頭を傾けるな」と言ったので6年の間じっとしていたら、仙人になった、という故事。イタズラ小僧たちが生き生きと描かれている。
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《唐子遊図襖》
初見で楽しみにしていたもの。襖大3小6面に墨画淡彩で子供たちの様子が描かれている。
右には、山に登る子供達、下にいる子を上の子たちが引っ張り上げる。
左には、豚に乗った子供を中心に遊ぶ。
そして真ん中(画像下 一部)
子犬を持った子供が行司と思しき子供を挟んで相対し、まさにいま子犬相撲が始まろうというところ。中国の唐子闘鶏図を元に表したか。左の子犬はこれから戦おうという時に眠そうにしているし、右の子犬(画像)は子供に足を掴まれてイヤイヤしてしている。おかしくてニマニマしちゃう。ろせつ犬登場だ!
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特別編1 子犬の絵の歴史と蘆雪

俵屋宗達《狗子図》(部分)
宗達の子犬の特徴は耳が離れて頭が扁平。これは白犬だが、黒犬は墨のたらし込みで描かれる。
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狩野探信《遊狗図》
目の周りが白く、白い鼻筋の柄の子犬は中国朝鮮絵画に倣ったもの。この柄は応挙や芦雪にも引き継がれる。
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円山応挙《時雨狗子図》
応挙最古の子犬図。毛がボサボサしている
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円山応挙《雪中狗子図》
52歳。子犬の型完成。瞳を淡い茶色で描くことで、いたいけなさを出す
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《童子に狗子図》
戯れる子犬に幼い弟が怖がり、兄が追い払う図。童子を生き生きと描くのがうまい蘆雪らしい。戯れずにみている子犬は応挙犬そっくり。目も茶色い
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《南天狗子図》
こちらも応挙風の子犬。後ろ足投げ出しは可愛いポイント。
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《木蓮狗子図》
応挙風でありながらも、後ろ姿の子犬のフォルムが長く、蘆雪らしく崩れていく。
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《枯木狗子図》
筆数を最小限に抑えてこの余情
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《寒山拾得図》(左幅》
寒山拾得図にもわんこを入れ込むサービス精神。
注文主の依頼か、深読みするなら「犬に仏性はあるか」の禅の公案をむまえたものか。
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《狗児》《狗児図扇面》
師の応挙の描き方から離れて、振り切れている!
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《十二支図》
馬も虎も後ろ足投げ出しのゆる系
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そして、子猫が虎の尻尾に戯れている!後ろ足の頼りなさ、脱力が可笑しい。子犬を大きいものと対比して描くは《白象黒牛図屏風》を思い出させる。
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《狗子図》
得意の朧月に犬。蘆雪の子犬は、応挙のと違って、瞳が黒い。やんちゃさが全面に出る。
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《菊花狗子図》
瞑った目の子犬も可愛い。小さな花、菊や蓮華が格段に上手い。
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前期はろせつ犬が17図もあり!

5月10日まで(前期は4月12日まで)

ランチは、平時のおうどんフォト
恒例のさくらソフト、ここの売店は作るのがいつも下手フォト
府中の森公園の桜はまだ3分咲きフォト









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