ポケットの奥でぬるんだ硬貨たち 決められないまま夜を抱いてる #短歌
呼ばないでいれば壊さずに済むものを知ってしまった夜が動けない #短歌
離したらもう戻らない気がしてる 形ないまま覚えていたくて #短歌
鍵をかけ確かめるまでのあいだだけ まだ外側にわたしが残る #短歌
地球規模で考えればとつぶやいて洗濯物を取り込み忘れる #短歌
冗談で隠せるうちはこのままで名前のないまま立っていられる #短歌
差し出せばきっと形を変えるから掌のなかでそっと育てる #短歌
明日もし消えると言うなら冷蔵庫 半分残したプリンをあげる #短歌
ひかりとは白に溶けゆく舟のこと 岸はあるのに水が遠いね #短歌
責めもせず雲はわたしを越えてゆく 選ばれなかった朝の静けさ #短歌
アイスティーかき混ぜすぎた午後みたい 予定だけまた甘く崩れて #短歌
渡せない言葉の重み測るなら 硬貨をひとつ指で弾いて #短歌
音のない場所でようやく輪郭がわたしのかたちを選びはじめる #短歌
転んでもまだ笑ってるひとたちをソーダの泡が空へ押しあげ #短歌
しゅわしゅわとほどけきらない今日を連れただいまだけがぽんと弾ける #短歌
ありきたりマニュアルごとを海に投げはだしのままではじめましてだ #短歌
消えぬならそれでいいかと夜を裂く 胸の模様に触れぬまま立つ #短歌
戻らない選択だけが光ってる 濡れた境界付近踏み越えたまま #短歌
切手貼る指が止まって息を吸う 届けたいのは過去形のきみ #短歌
鍵穴に今日を差し込み回すとき守られている音ひとつ鳴る #短歌
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