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2026年03月02日20:48

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2/28 歌仙在原業平と伊勢物語@三井記念美術館

在原業平生誕1200年ということで、昨年冬に根津美術館で開催された「伊勢物語―美術が映す王朝の恋とうた―」展。夫は「伊勢物語」が好きなので見たいと言ったのだが、私が「優先順位」を下げてしまったので、見逃してしまった。罪滅ぼしに、今年開催の伊勢物語展は優先順位を上げ、早めに行くことに。

当日出発も早めだったので、これなら11時開店の「金子半之助」に間に合うと目指したが、10時30分到着ですでに長蛇の列。1巡目には、私たちの後ろ3組までしか入れなかったのでギリギリセーフである。相変わらずの人気店。大盛りの具のミニ天丼に喉越しのいい稲庭うどん、付け合わせ使い放題で、値上がりしてもコスパがいい。
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美術館は空いていると思いきや、円山応挙展より人が入っていた。伊勢物語がそんなに人気だったとは意外。写真撮影可の作品は屏風2点だけだったが、中央に長く陣取る老人に対し、中年女性が「場所を譲ってください」と言ったのを発端に係員が仲裁に入り、双方一歩も引かない言い争いが続き、展示室内中に小声なれど響く。雅な物語作品を見に来て、そんなことに時間と気分を潰すのは勿体無いことなのになぁ、としみじみ思う。

伊勢物語は、その主人公「男」は在原業平とされているが、125段の短編歌物語でできている。有名なところは限られていて、古典の教科書で知ったもの、やまと絵や琳派の作品で触れたものが多い。

今回の展覧会では、最初の展示室に、かるた、合貝(和泉市久保惣美術館蔵)や色紙(香雪美術館蔵)、茶道具を展示し「ダイジェスト伊勢物語」と称して、有名場面とストーリーと歌を紹介。これがわかりやすくてよかった。
展示室4では伊勢物語を広めた琳派の絵画、展示室5では「伊勢物語」の成立と普及、最後の章では、物語を「デザイン化」した工芸作品にや能面をも展示。コンパクトながら面白かった。
前後期入れ替えが20点余る。

https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
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平安時代前期に活躍した在原業平(825〜880)は、天皇の孫で和歌に優れた貴公子として知られます。その「歌仙」として、また「恋多き歌人」としての人物像は、彼の和歌にくわえ、『伊勢物語』の主人公に仮託されることで拡散していきました。
2025年は、業平の生誕1200年にあたります。これにちなみ、現在でも人気が高い業平と『伊勢物語』を題材に生み出された絵画・工芸・茶道具等の作品を集め、そのイメージの広がりの豊かさと、造形の魅力を探ります。加えて、和歌の典拠の一つとされる『古今和歌集』や、近世における普及の一端を担った版本・絵入本などの典籍を通じて、『伊勢物語』の成立と普及の過程についても展示いたします。

ダイジェスト伊勢物語


岩佐又兵衛《三十六歌仙図額 在原業平像》寛永17年(1640)
色男と言われた業平、岩佐又兵衛の手にかかると面長。装束は「業平菱」の文様
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《伊勢物語絵巻 第4段「西の対」》鎌倉時代 13〜14世紀
「月やあらぬ春や昔の春ならぬ わが身ひとつはもとの身にして」
西の対に住んでいた女性を思い出し、涙する男。
伊勢物語の彩色絵巻では最古のもの。
鋭角的な場面構成、主たる人物を小さく端に配するなどやまと絵らしさが出ていて素敵。他の場面も見てみたい絵巻だ。
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《伊勢物語芥川・武蔵野図扇面》江戸時代 17世紀
「芥川」では、男が女を背負って逃げる場面がよく描かれる。川に差し掛かった時草についた露を、女は「あれは何?」と聞く。夜も更け、女を小屋に入れておくと鬼に食われてしまうという話。

「白玉か何ぞと人の問ひしとき 露と答へて消えなましものを」
「武蔵野」も男が女を盗んで武蔵野に差し掛かったところで、追手に見つかりそうになる。男は女を草むらの中に置いて逃げちゃう。
「武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれりわれもこもれり」
「芥川」も「武蔵野」も男が女と逃避行する話。
「芥川」では、川と小屋が描かれ、「武蔵野」では草むらが描かれるので、この扇面は二つの合体。どちらも男が情けなさすぎ。
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《伊勢物語色紙 第49段「若草の妹」》南北朝〜室町時代 14〜15世紀
妹があまりに美しいので、誰かに嫁がせるのが惜しいと思う兄。兄以上の感情が、一緒に琴を弾く絵に現れているような。
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《合貝(伊勢物語図)第23段1「筒井筒」》江戸時代 18世紀
これは教科書で習ったのが最初だったような気がする。いくつかの見せ場があるけれど、これは、男女が幼馴染で、井戸の周りで背比べをしていた図。可愛らしい。
自分が浮気しているから妻もきっとそうだと疑ってこっそり家を覗くと妻は夫を疑うことなく帰るを待っていた、という場面や、浮気相手の女が自分で飯をよそって食べていたのをみて幻滅したという場面も、確か誰かが描いていたと思う。
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《伊賀耳付花入 銘業平》桃山時代 16〜17世紀
関東にあった伊賀花入の名作5点「東五人男」のうちの一つ。もと「泰山」の銘だったのが、三井高大夫人・姿子が「業平」に変更したそうだ。なぜ?
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絵画化された伊勢物語

《伊勢物語図貼付屏風》江戸時代 17世紀 *写真撮影可
36枚の伊勢物語絵を貼り付けた屏風。慶長13年の板本「嵯峨本伊勢物語」を参考に描かれている。
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《伊勢物語八橋・龍田川図屏風》江戸時代 17世紀 *写真撮影可
伊勢物語で最も有名なのが、第九段東「東下り」の八橋ではないかしら。在原業平(昔男)が、カキツバタが咲く地で、京の妻を思い、カキツバタで折句を詠んだというのは、学校で習った。
「唐衣着つつなれにしつましあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」

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深江芦舟《蔦の細道図屏風》江戸時代 17世紀
《蔦の細道図屏風》といえば、俵屋宗達の六曲一双の屏風を思い出すが、深江芦舟は尾形光琳に学んだ人。たらし込みで描かれた宇津の山々、分入る細道は金箔で描かれ、蔦が散りばめられている。文を託した修行者はもう遠ざかり、背負った笈だけが見える。今回一番気に入った作品。

「蔦の細道」は「東下り」のなかのひとつ、都を離れた男が東国に向かったところ、東海道の難所・駿河国宇津山で顔見知りの修行者に出会い、都の恋人への手紙を託すという場面。
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酒井抱一《宇津の山図》江戸時代 19世紀
こちらは、修行僧を引き留めて、文をしたためている図。縦長の画面、下の方の道が暗く細くなっていく。
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伝俵屋宗達《伊勢物語色紙 第58段「田刈らむ」》江戸時代 17世紀
稲刈りをしようとして外に出たら、娘たちがやたら視線を送るので、タジタジになって家の中に逃げたということらしい。歌は後で検索。キャプションに翻刻が欲しいところだ。

「荒れにけりあはれいく世の宿なれや すみけむ人の訪れもせぬ」 
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菱川師房《美人遊歩図》
《見返り美人》で有名な菱川師宣の長男。着物の柄が「嵯峨本伊勢物語」の挿絵。大変精緻に描かれている。
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鈴木春信《見立伊勢物語 八橋》江戸時代 18世紀
着物の裾を腰に挟むのを「東からげ」という、それを伊勢物語の「東下り」に引っ掛けて、場所は燕子花咲く八橋。
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歌仙在原業平と伊勢物語


吉田元陳下絵《押絵六歌仙帖》江戸時代 18世紀
「押絵」とは、下絵に合わせて彩色した厚紙を切り抜き、布などを被せて貼り合わせることで画面に立体感を持たせる手法。東福門院和子周辺で流行したという
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伊勢物語の意匠化と芸能化

尾形乾山《色絵竜田川図向付》江戸時代 18世紀
「ちはやぶる神代も聞かず龍田河 からくれなゐに水くくるとは」
紅葉に川の流れとなれば、竜田川。
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伝福来《能面 中将(鼻まがり)》室町時代 14〜16世紀
鼻筋がわずかに右に曲がっているので、通称「鼻まがり」眉間に皺を寄せた、業平の亡霊の面。
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ついつい、お勉強チックなレポになってしまったが、色男在原業平は、光源氏とともに、それはないわぁ〜いい加減にせい!と言いたくなるような話も多く、面白い。



4月5日まで
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