台所 火の名残ある指先を嗅げばひとりの暮らし立ちのぼる #短歌
風紋を胸に写して立つひとよ 離陸しないで空を抱けり #短歌
境界線そこに死の語を仮置きし水着は今日の防波堤なり #短歌
ためらいをほどく仕草で風を抱き冬の名残を空に返せり #短歌
くつひもをほどくおとだけやわらかい かえってきたと床がわらった #短歌
バイバイの輪にまぎれこむ夕あかり わたしもすこし軽くなるよね #短歌
役に立つふりして並ぶ言葉よりあまった空の青を連れてく #短歌
王様のつもりで振ったサイコロがひとの明日まで決めると思うな #短歌
削除キー押せば終わると知りながら残しておくのは体温のため #短歌
窓ぎわの花の気分でいたいけど水やりだけは自分でしなきゃ #短歌
急ぐたびマフラーの端ほどけてく冬は未だあるポケットの奥 #短歌
知らなくていいよと土があたたかい 花は自分の深さで眠る #短歌
既読にはならないままの一行が水面のように呼吸している #短歌
花束の重さのぶんだけ前を向く さよならはまだ青いにおいで #短歌
現場って言えば通ると思ってる?でもその響きちょっと好きかも #短歌
触れちゃった?そんな顔して笑うけどほんとは少し血が出てるかも #短歌
その音で世界は少しずれていく 帰らなくてもいい側の夜 #短歌
廊下にはこぼれた音の跡があり 言わないままの足が増えてく #短歌
やさしさに首輪はきっと似合わない 名前つけたら逃げちゃいそうで #短歌
主語だけがふくらみすぎて息をのむ わたしはいつも末尾にいるんだ #短歌
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