夕焼けがなくなる前の呼び声で名前じゃないとこほどけて向かう #短歌
トンネルの明るさだけを先に食べ鍋の底にはまだ夜がある #短歌
丸くなる理由を川に聞かないで 止まった時間が石を抱いてる #短歌
背に乗せた夜が答えでいいのかと神もいっしょに立ち止まってる #短歌
残り火を見張る夜更けの湯のみ置き 冷めないことが罰みたいだね #短歌
まだ誰も役をもらえず並んでる 心臓だけが点呼待つ夜 #短歌
泳がない決意がひとつ浮力になり 闇は深さを測られたがる #短歌
耳たぶにそっと触れればほどけそう ひみつはいつも月よりやわらか #短歌
指先で触れたグラスの曇りまで言えないことの体温だった #短歌
栞ひとつ挟んだままで眠らせる開けばきっとこわれる温度 #短歌
まだ水のまぶたで夜を抱きながら呼べないままの肩をさがして #短歌
てのひらにあまるひかりをのせたままかえりみちだけやわらかくなる #短歌
てのひらで消えそうな跡なぞりつつ青の匂いへ息をわたした #短歌
くちなしのにおいだけ降る玄関でまだだれもない白を抱きしむ #短歌
ほどけないリボンのような夜を抱きやさしさだけを深く灯せり #短歌
まだすこしぬくもりのこるひじかけにこないをそっと畳んでおいた #短歌
会計の音だけ澄んで春遠し 青を理由に街へまぎれた #短歌
喉奥でまだ振るえてる無音域 名のない夜がこちらを見るよ #短歌
からっぽのかたちを撫でるゆびさきではこになる日もやわらかでいい #短歌
未遂形それが今夜の成果です ポケットの底 星が丸まる #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する