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2026年02月14日20:36

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濡れ手で粟、をつかみたい!

 2月14日土曜日、晴れ。
 午後3時前、散歩がてら図書館へ行くことにした。午後1時半から校正を再開しているので、わずか1時間ちょっとで投げ出す恰好だ。
 図書館まで約1キロ、という距離は、ラクな小散歩にぴったりだ。往復することを想えば、短すぎるほどでもない。
 文芸書棚で、これまでに読んだことがない作家の本を手に取っては、見返しに貼り付けられた帯のコピーを読んで、「これはぼく向きである(ではない」」「これは面白そう(面白くない)」と判定する。こんなゲームを10冊くらい繰り返すうち、だんだんと今日の自分の嗜好や精神状態さえもがわかってくる。
 黒川博行かあ。ベタな大阪弁が出てくる小説は好みじゃないので避けて来た。『そらそうや』、けったいな書名やけど、エッセイ集なのか。その場でちょっと立ち読みを始めたデビュー前の高校時代や2浪+1浪で入学した京都市立芸大、大手スーパーに就職、辞めて高校の美術教師……。愛読者ではないので別に知ったからと言って面白いワケでもないのに、閉じようとしたら決まって笑わされる文章が出てきるのだ。
 たとえば黒川博行の「人生訓 好きなベストスリー」は以下だそうだ。
・濡れ手で粟
・果報は寝て待て
・棚からぼた餅
 浪人しても朝起きたらパチンコに行き、昼を過ぎたら雀荘で麻雀を打ち、勉強もデッサンなどの実技にも取り組まず、だらしない生活を送っていた、などという前振りがあった上で、こんな人生訓を持ち出してくる。
 実のところ、私も似たところがあって、
・楽して得取れ
・先立つものは金
・待てば海路の日和あり
 という箴言を好んでいる。
 黒川さんはこの他にも「今日できることや明日やれ」という信条が好きだ、と書いていたのだが、中島らもさんもかつて同じことを言っていた。私も関西人DNAのらせんが40本ほど遺伝子に組み込まれているので、親しみを感じてしまう。図書館で読んだにもかかわらず、Amazonにレビューでも書いたろか、と(笑)。
<生真面目なひとが読んだらどんどんと不愉快になっていくのでご注意ください。私はずっと悪ふざけで生きて来られたので☆☆☆☆とします>
 しかしながら、こうして黒川博行エッセイ集を1時間ほど立ち読みしていると(6割くらい読んだ)、徐々に罪悪感に苛まれ始めた。やるべきことを放っておいて、こんなくだらんエッセイを読んでいる俺。ここに書かれている黒川さんの日常は読者サービスであって、ホントは勤勉家に違いない。笑い話を真に受けるな、と。
 最後の章で親しかった鷺沢萌と藤原伊織への追悼記があるので、そのくだりは真面目に読んで本を棚に戻した。これで7割読んでしまった。またたく間に時間と15分が過ぎていた。
 罪悪感解消のため、良寛の歌と教え説いた本を閲覧所で30分ほど広げて読んでいると、日が暮れ始めた。17時半。
 今日は何も借りずに帰ることにし、口寂しくて柿ピーひとつまみを食べる気持ちからリサイクル本棚の前に行ってみたら、一穂ミチの『スモールワールズ』があった。帯に北上次郎氏の推薦文がでかでかと載っている。
 万引き気分でリュックに収め、帰宅した(苦笑)。
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