無言の座 息を合わせて明くるれば語らぬ慈悲で身に染みにけり #短歌
聞かぬまま枕に伏せて夜更けゆく 言の葉やさし夢を避けたり #短歌
動かないままの熱だけ残されて影がゆっくり深くなるのだ #短歌
うまいって言う役目だけ口にして味の外側でうなずいている #短歌
折り目だけ残る沈默たたむ手で朝の形を探しています #短歌
稽古場に先に零るる涙あり真は静かに影を深むる #短歌
余白からこぼれる声を拾えずに数だけ先に選んでしまう #短歌
行き先のない水たちが手に来るとそこが場所だと思ってしまうよ #短歌
秘め菓子の甘みを胸に含みつつ黙する術を人は覚ゆる #短歌
むかないで食べるって決めた夜もある大人の歯には嘘がやわらか #短歌
皮のまま残る体温手に移り行かない理由が増えていく夜 #短歌
貼り替えの瞬間だけがあたたかく自分の輪郭まだ信じたい #短歌
貼ったとこさわらないまま朝になる 壊れたままで守っているもの #短歌
間を置くと気持ちがほどけて逃げそうで息のまんまで渡してしまう #短歌
名なき空 星座にあらずとも照りて在るを在るまま夜を許せり #短歌
割り勘の小さな音がひびくほど近づきすぎず離れもせずに #短歌
夢なのかスクラッチなのかわからなく削ってる間起きなくていい #短歌
なんでだよって言う前にさ溶けちゃってうああって顔で笑ってたんだ #短歌
湯の煙具の影見えず箸止まり在ると信じて待つ夕餉かな #短歌
ポケットに入れたままでもあったかい言わないままの気持ちがひとつ #短歌
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