靴ひもを結び直して朝になる誰にも見せぬ鎧を着てる #短歌
秤から落ちた重さで夜は満つ 名付け損ねた世界の端よ #短歌
絵が好きな人間にとってこの街は完成しない下書きのまま #短歌
言いかけてやめた分だけ椅子がある 座っていいよ今日はここまで ##短歌
別にいいと言ってしまえば風が止む 想像だけが先に歩いて #短歌
あのひとは終わりましたが本当は終わらせ方を探してたんだね #短歌
今日着ていく服がないって笑ったら昨日の自分が一枚余る #短歌
火にかけて名前の違うものたちが同じ湯気へとやわらぐ時間 #短歌
こぼれたら消えてしまえる白だから拾う理由をまだ探してる #短歌
自分のせいだって言えば楽だから今日も誰かの眼鏡を直す #短歌
剥かれないみかんが一個机上にあって急がなくても冬は進むね #短歌
呼ばれずにそこにいればいい 光だけ当たる順番を静かに待つ役 #短歌
予定欄空白のまま閉じる夜 触れない理由が増えていく月 #短歌
まっすぐな道ほど怖い夜もある それでも靴は雪を踏みたい #短歌
奪われたあとの器に風が来て空っぽなりの音を残した #短歌
瞬きのあとに残った足跡に追いつけなくてきれいなままだ #短歌
爪の間から立ち上がるにんにくの匂いで思い出した約束 #短歌
触れぬまま近づくことを選ぶ夜 息のかたちが先に丸くなる #短歌
ある意味で正解だったかもしれず 言い切れぬまま夜がやさしい #短歌
たまごっち死ぬ音だけが残る夜 育てた時間 部屋にひびいて #短歌
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