合図だけ覚えて進む午後の線 指先そっと軌道を示す #短歌
ザリガニの赤ちゃんすくう午後でした どこの国から来ても育つね 短歌
重ための扉の奥で続いてるあの日の曲を探す指先 #短歌
少しだけ古いメニューを開きつつ回らぬ皿の重みを想う #短歌
投げ上げた紙のゆく先知らぬまま職歴よりも飛距離を見せて #短歌
くもりですその一言にも影はさす ふれたものからしっとりしだす #短歌
そっと聞く宝石箱じゃないのかなど 胸の光を名づけられずに #短歌
石を投げられる景色を歩きだす ひそかな音で呼吸そろえる #短歌
幼さに届く贅沢差し出され当たり前だと思っていたこと #短歌
言いそびれ持ち帰るしかなかったね 苦さを分ける朝のテーブル #短歌
やわらかい朝のひかりに息をする すこし遠くでほどける世界 #短歌
まろやかな味のあいまに触れたこと 遠い季節もそっと寄り添い #短歌
なにしとつ片づけられず朝になる 続ける理由 机の端に #短歌
ためらいの端にとまった声あたためてカップの丸さをふたりで囲む #短歌
気持ち悪い その一言で変わる道 拾った出来事黙って捨てる #短歌
ゆくみちの曲がり角ごと数えてはちがう世界でととのえる息 #短歌
変わりたい気持ちばかりが部屋にある ゆびさきよりも先に見ている #短歌
ほこりごと積んだ時間に触れずいてわたしはただの通りすがりだ #短歌
手紙には書けない兆し増えてゆき言葉の隙へ風だけ通る #短歌
座敷童子みたいな子だねと笑われて急に静かになれる夕暮れ #短歌
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