心だけ置いてきぼりのままだけど君のしるしを刻む終業灯 #短歌
全部教えてくれる気配を胸に置き雨粒よりも細い約束 #短歌
当たり前みたいな服に忍ばせた帰りたくない夜のポケット #短歌
診察の順番待てず空を見る あの街だけがまだ燃えている #短歌
蹴られた缶が転がる音ののち静か 遠くで犬が二回ほどほえる #短歌
あなたとの距離のあいだにしまいこむ あたたかいものまだ名もないまま #短歌
雨の中タクシーひとつ来ないままぬれた世界に名前をつける #短歌
割れなかっただけの理由を撫でながらひかりの底でまだ息をする #短歌
宇宙から来た手紙めくるみたいだよ きみの灯りが夜をほどいて #短歌
言葉の魔術師どもが夜を編む ほどける前に息をひそめる #短歌
撃たれたらその穴ひとつふさぐよう草の芽みたい息して進む #短歌
消臭効果ないから匂い残したい あなたといたと分かるくらいに #短歌
生き急ぐ声が跳ねれば胃を越えて脳より先に指が返事する #短歌
それはもうやめてって言ってるじゃんほら風船みたいに膨らむ午後だ #短歌
ひそやかに地図から聞ける道ばかり指でなぞって夜を薄める #短歌
あいまいな境目ひとつ触れあえば言葉より体のほうが先に和解する 短歌
いやもうさ自分で勝手に進むなら残した影も置いてってよね #短歌
段ボールつぶすみたいに息を吐き集めて捨てたきみとの昨日 #短歌
深い事いちいち言えば雲が割れ傘をたためぬ帰り道なる #短歌
先輩よりも高い家買うな言われても窓のひかりをもう戻せない #短歌
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