あたためてまた冷ましたような声 二番煎じのやさしさに酔う #短歌
ひらく掌のかたちにしたたれば種ごと檸檬愛しさの圧 #短歌
だってもう美味しそうだと言う前にスプーンの先 月をすくって #短歌
火を弱め肉のすがたを見つめてるあわれの中に味をたしかむ #短歌
わたしまだぜんぶ終わっていないから笑うときには歯を見せている #短歌
白地図をなぞれば指は冷たくて誰にも見せぬ火を抱きしめる #短歌
婚姻届光るインクのうつくしき冗談として胸を焦がせり #短歌
蔑みを受け入れながらかぞえいる十の指より眠りおちたり #短歌
フォーク入れ古墳の丘をくずしつつわたしの過去が甘くほどける #短歌
読みかけの文庫が風にひらかれてわたしを知らぬ文字が立ちのぼる #短歌
中身はね豚の挽肉でしたのよ 言えば部屋には匂いが満ちる #短歌
わざとだと思いますけど風鈴の音が遠くで笑っております #短歌
かなしみを掬う指先うすあおく魚のかたちに震えてひかる #短歌
いっぱいありそうだねってその声が氷をすこし溶かしてしまう #短歌
生活が見えないですと告げられてわたしは湯気を見つめてしまう #短歌
しゃべらない日が積もってく手のなかのラムネの玉がやけに青いね #短歌
果て知らぬものらの中に投げられて弧を描くもの犬が追いぬく #短歌
ちいささを撫でては泣いてしまいそう 風のなかでもう見えなくなる #短歌
ライトつけっぱなしの車のそばで無敵の時間を投げては拾う #短歌
息をのみ信号待ちにも気を張って街が少しだけこちらを見てる #短歌
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