順番を待つあいだにもスベりゆく 言葉と沈黙どちらも熱い #短歌
きみという言葉のなかに雪がふる 静かな午後を指でたどれば #短歌
ひといきで灯をけすこえのかすれまでやさしい嘘を抱いていたいな #短歌
しずかなる密封容器の呼吸にもゆっくり溶けるあまいかなしみ #短歌
言葉より先に靴音していたね そこにはもう地図がなかった #短歌
思索とは雪の粒ほどあやうくて都市の灯りを借りにゆく胸 #短歌
骨の音 ゆっくり雪を踏むようにわたしの中の意味を探して #短歌
妖怪じみたことじゃなかった 目を閉じて灯りのない家の夢を見ただけ #短歌
ビル風に頬をさらして歩く子のかなしみだけがいま動いてる #短歌
餃子にはマヨネーズいると思ってて言えずに冷める夜のテーブル #短歌
失くさないリップクリームの重さにも冬の決意をひそめておけり #短歌
マヨネーズの味しかしなくない?の声に沈むトマトがまだ赤いまま #短歌
静けさのなかでひとりは息を継ぐ きみの階段遠くで鳴いた #短歌
理由など問えば崩れる硝子かな 声の温度を持て余しつつ #短歌
いまさらの嘘を数えて眠れない 友の既読をまた見に行く夜 #短歌
待つことを選んでしまう午後の雨 傘のしずくに声を閉じこめ #短歌
降りるたび息がやさしくほどけてく階段だらけの街のまばたき #短歌
白い息磨かれてゆく皮の面 だれかの今日が光っていたね #短歌
ゆられつつ指はあかるい輪を持つ まだどこにも着かぬままいて #短歌
ぬるさだけのこすカイロをひらき見る 何かがまだ冷めきらぬまま #短歌
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