あふれだす影をも愛す掌にまだ名づけぬ花がひらける #短歌
ひとしきり笑いのあとに残る息 まだ誰も知らぬ関係の粒 #短歌
あの時の泣いてた顔に似ていたね 傘たたむ音やけに澄んでる #短歌
ホールケーキ一気に食べてみたかった 今日のやさしさぜんぶ胃の中 #短歌
借り物のペンで書いたら少しだけわたしが減った気がした名前 #短歌
ポスターになる夢だったあのころをやわらかく祈りしまう退勤 #短歌
優勝をするまで禁止されているジュースの蓋を開ける勇気も #短歌
ごめんねと言えぬまま過る通学路 写真のなかにいたはずの影 #短歌
ヒッチハイクの分際でまだ夢を見る 交差点にはやさしい赤が #短歌
金網のゆがみを指でなぞりつつ かえりみぬまま風だけ残る #短歌
制度とはあたたかさではないとして店の灯りに名札が光る #短歌
グラスには指の力が映り込む刃牙の話で夜がはじまる #短歌
雷のおちたところを見てしまう あなたの話を聞きながらいて #短歌
テレビからたかまつななかこちら見る正論よりも光が強い #短歌
静けさの底でまっしろなきみだけが降りつづけては止まらない夢 短歌
夜のなかまわる体のあたたかさ今夜も朝まで輪廻したいね #短歌
まっすぐに帰れぬ道のうつくしさ 知らない色のドアが光るよ #短歌
ジェットコースター降りたあとまだ少し距離ののこった空気が笑う #短歌
フォークばかり並ぶテーブルの上にいて切られた形のままのお気持ち #短歌
指の後味つくテーブル越しの沈黙をバイトの癖でやり過ごしてる #短歌
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