凍らせたスープに指をあててみる やさしさだけがまだ溶けてない #短歌
課長席花ひとつぶん明るくてわたしたちには昼が過ぎてく #短歌
夢の脚 本当のほうがぎこちなく実写版だけ海を渡れる #短歌
蕎麦は噛むもんじゃないって笑いながら生き方まですする午後三時 #短歌
屋根とはたぶん傘の延長線上にある庁舎の灰を吸いこむ午後 #短歌
まぶしさに目を細めればそこにいる陽気なバカの影はやさしい #短歌
踊り場で息をそろえる議事録のような夕陽と富士の輪郭 #短歌
あいだには風が通ってやっと言葉がやわらかく触れる午後です #短歌
きみに似た小さな笑みを見つけたの世界はすこしずつ優しくなるね #短歌
麺類食べるときに湯気が気になる季節になってきたな
切れかけの蛍光灯が震えつつ言葉の端で息をしている #短歌
ひかりにもぶつかることがあるように風に押されて転ぶみたいに #短歌
挨拶の代わりに触れる掌(て)を見てる観葉植物息をしている #短歌
清冽の水は嘘なく透きとおる君の言葉を飲み干せぬまま #短歌
ひかりにもこぼれた影があるように食べこぼしだけじゃなかったんですね #短歌
プラザ脇 風にひらいてかすみ草 指令のように白く立ちおり #短歌
人の婚期 決める声には窓の音 雨になるまできみを見ている #短歌
退学の文字にすこしの風があり影のいろまで透ける八月 #短歌
怠けても世界がちゃんと動いてる それが少しの罪であること #短歌
見えすぎる夜の輪郭うすれてく素人のまま光を浴びる #短歌
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