悩みなさそうと言われてつまづけばひとりで深く呼吸している #短歌
雨降ればふくらむだけの予定表 消しゴムみたいににじむ線路よ #短歌
沸きたての片手鍋からこぼれだす涙もまたと知られぬように #短歌
マイレージしらないことを言いながら行き先だけは君と決めてる #短歌
レシピ動画スクロールする指ぬれて牛すじの灰汁浮かびあがりぬ #短歌
ぎりぎりで収まらなかった荷物より残った余白に空を見ている #短歌
ふざけ合う長い午後には遊びごと音の前から歌が芽生える #短歌
思いあるものだけ声になりながら残る気配を君に手渡す #短歌
雨の名をつけるみたいにそっとして君と泊まれる部屋を思って #短歌
ページめくる指のしぐさに置いてゆかれ物語だけ先に行きけり #短歌
さみしいを美しいって言われても胸のくぼみはなお冷たくて #短歌
右の目に涙はすぐに左へとこぼれて君を二度濡らしけり #短歌
吸って吐くことばのかわりと風がいてまだ使われぬ椅子の背もたれ #短歌
ずっとまだあと少しだというようにパソコンの熱手の甲に置く #短歌
どこでどうまちがえたのかラーメンにアイスのスプーンつっこんでいる #短歌
代用餌で半日しのぎそばにいるあなたの声の影を食む午後 #短歌
替えパンをかばんに入れて歩く午後 汗ばむほどの保険のように #短歌
至極まで平均的な父を選びわたしは日々を縫い合わせてる #短歌
帰る家きょうはカレーと言ったのに鍋の湯気まで約束のよう #短歌
ごめんねと言うしかないの分が悪い 夜の冷蔵庫光ってしまう #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する