オナラして飛んでたことを君に言う 夕暮れの風 なにも返さず #短歌
平等に轢かれてしまうものたちの夏の毛皮にやわらかな風 #短歌
目を瞑り彼方を選ぶバスの窓すこし傾くペットボトルが #短歌
ヤマビルに血を吸わせ蚊に血を吸わせうつむく夜は小さき土葬 #短歌
振り返る犬の目の奥映りたるわたしのかたちひずんで揺れて #短歌
ポットから聞こえる海の胎動を耳もと近く愛を思いて #短歌
路上の声こぼれ落ちれば向日葵がなお真直ぐなる太陽のもと #短歌
齧ったのにまだ茹でているそうめんを弔うなんて誰も知らない #短歌
湿り気を吸った芝生に鳥の首ついばむたびに地球はあった
指の間透ける細糸すする音弱き夏きたわたしを測る #短歌
端っこのレーンを選ぶ理由とか訊けずに泡を飲み込みながら #短歌
猫の口ひらけばわたし真似をする感染症にも似たるやさしさ #短歌
乾涸びて死体は日に日に縮みゆくきのうの影と今朝の消失 #短歌
フォロワーの数字が剥落してゆけば顔のない声宙をさまよう #短歌
時よ止まれ祈ったままに固まってカレンダーだけ次をめくって #短歌
塩素まといだるい午後には骨の中まだ泳ぎ去る魚の記憶 #短歌
気が遠くなるとき海のきらめきに三人そろい浜を歩めり #短歌
自分だけ裸足のままで立ち尽くす舗道の熱はまだ昼を抱く #短歌
買い物の袋にすらも明かりあり暮らしの中の描線として #短歌
作戦の行動未遂 遅刻してバスの窓には空が余白に #短歌
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