ケンカしてまだ怒ってるか気にしてる ふつうの夜をふつうにしたい #短歌
この夜はタイソンにとってダマトかな 死ぬ以外ない小さな灯り #短歌
落ちた柿赤い残像のこるなか落ちた柿には秋がひそんで #短歌
夏の日に舞台の上で泣きながら傷へと降りる絶望の塩 #短歌
髪の毛が言うこときかぬ朝の道冷たさだけを抱えて歩いた #短歌
汗の手をズボンで拭いて差し出せば誰も知らない明日が来るよ #短歌
銀杏落ちどの明日にもずれているひかりの粒を掌でかためる #短歌
空腹でスーパーの灯を透かし見てゾンビの群れがする品定め #短歌
くもり窓赤信号さえ沈みゆく呼吸の跡がひかりを乱す #短歌
つくらずに済ませる夜の手のひらに冷めたコロッケ浮かぶ気配す #短歌
触れられず秋の貝殻並びおり波のかたちをなぞる夢みる #短歌
「本来の味」と書かれたパイに迷いなくりんごのほうを今日は選んだ #短歌
吸いすぎてしまう昨夜の空気にも枯葉まじってこぼれるわたし #短歌
切ることを怠けて選ぶ魔こま肉よ 透明パックに豚の時間が #短歌
せまいねと観覧車から見下ろせば街はひとつのおもちゃ箱めく #短歌
金星のかすかな光届かずに立入禁止の空き地で泣いて #短歌
やわらかな芽をつまもうとのばす手に春のあかりがおりてきている #短歌
面積は以前の半分それなのに残された棚に欲しい詩がある #短歌
うしろから秋がついてくる気がしてふりかえらずに枯れ葉を蹴った #短歌
ページめくる指先の間縫うように東京はただ息をひそめて #短歌
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