会話とは眠りの深さ測るもの 蓄音機なる骨格に似て #短歌
ショーウインドウ映る自分を売りながら観せてあげるを職と名づける #短歌
御殿場の道のひかりに浮びあがる真水の海と閉じたコンビニ #短歌
止まるまで弾んで消える音ひとつ嵐の午後の空気にまぎれ #短歌
制服で手を振るきみを見ていたら空の青さが増してゆく午後 #短歌
フィルムにはまだ残される夏の午後 君の沈黙 未来のようで #短歌
夏の午後いつかは眠る巨き木の肩にしずかな鳥をあずける #短歌
君の手が菜花を包み直すとき新聞紙には雨のにおいす #短歌
牧場には風の白さと影ひとつ静かに積もる誰の不在も #短歌
湿る夜が缶の底から広がって砂利の間まで延びる静けさ #短歌
自分しか聞いていないと思う夜 足音だけの国道沿いで #短歌
クッキー焼く たまの時間をつなぎめに犬のしっぽが部屋を歩いて #短歌
鎖骨からひやりと伝う風の筋 秋の街には灯の粒ひとつ #短歌
馴れ初めを話すときにも切り花は影を落として水を濁せり #短歌
何色もまだ知らされぬ余白には冷たい指が影を落とせり #短歌
夜店から帰る途中の電灯に君の影だけ夏をのこして #短歌
霜柱 秋ごと踏んで崩れゆく 足裏にまで響く足音 #短歌
終わらない祈りが胸にあるようにくちなし咲いて坂はつづけり #短歌
蛹とけ雨のしずくの中にいて手をすりぬけるひかりのにおい #短歌
しゃりしゃりと音を重ねて山となる 削りし氷 日の匂いまで #短歌
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