十六夜の窓にひかりて水しぶき尾ひれの影が胸に残れる #短歌
うたひだすたびに呪ひはまだそこに弦をわたるよあの日のこゑが #短歌
空はただ無心に青し わたくしはあてもなく雲かぞえるばかり #短歌
鍋の中湯気だけ無心 母の歌 死をめぐる歌詞まだ届かない 短歌
麺すするその欲さえも暑さにはほどけて流る水の寓話よ #短歌
まっすぐに帰れぬ人の集う夜 コンビニの灯はやさしくもある #短歌
やっぱりとブルーレイまで買ひ足して未来はいつも棚に眠れる #短歌
タンポポの綿毛に手紙結びつけ風のはじまり空へ送りぬ #短歌
黒きものわたしの中に沈めゆく ワカメは揺れて海鳴りを待つ #短歌
無人なる空のひかりを撮り続け青に沈める会えぬひとへと #短歌
わからない心の奥の速さより既読がひとつ近さのしるし 短歌
給食を拒みし午後に影となり呪いはひそか舌を縫い合う #短歌
新宿の階段おりて耳の中 コステロだけが生き残ってる #短歌
夢ひとつ抱いて沈んでゆくのかと海を見ている君の横顔 #短歌
孤独から零れ落ちたる灯をもとめ奇妙な趣味の声が重なる #短歌
概念のないほうがまだ楽に見え空気を吸ってただ呼吸する #短歌
教室の温度はすでに決まってわたしの声は混ざらないまま #短歌
石鹸のにおいをまといのどを過ぐそれでも乾きいえぬ夕暮れ #短歌
死んでいるけれど元気と言い張ればまるで既読の青のような日 #短歌
実情を知らずに並ぶ数字だけ机の上で正義は決まる #短歌
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