いつだった?きみが覚えていることを私は少しうらやましかった #短歌
ごまだれをずっと選べぬひとの横 私は今日の出口を選ぶ #短歌
空っぽのこったグラスをなぞり話してる足りないものは水じゃなかった #短歌
流し台 淡いみどりの影を引き 母には見えてわたしにない歌 #短歌
未来って話すほどには明るくなく それでも紅茶はちゃんとあたたかい #短歌
小さじを迷わず使うひととなり人生なにかうまくいってた #短歌
好きだった映画のことはもう言わず半券だけが風とたわむる #短歌
遠くから増えが三つ鳴るだけでやり直したくなる午後になる #短歌
その差にはたぶん理由があるんだとわたしは黙って温度まで返す #短歌
たとえばの武器にもなれるこのカメラ 今日はただただ人を好きだった #短歌
どうしよう そう呟いた声だけがある この静かなる棚に浮いてる #短歌
よく眠れた 君の声だけまっすぐで関係という箱が組まれる #短歌
きっともう見た目だけでは生きられず でもあのナポリタン 夢のかたちだ #短歌
紙袋の繊維に沈む呼吸ごと 球根はまだ闇をひらかぬ #短歌
ロボットか 人かのあいだに吊るされて ひらがな三字を写しつづける #短歌
あさひかるカーテン越しの音のなか もういちどだけ眠りを選ぶ #短歌
切りすぎた爪のかたちで朝がくる 目覚ましだけが知ってる時間 #短歌
「過去ごとを 愛す」と君は言いながら湿りを残す菜花を包む #短歌
呼吸より先に煙が届きおり輪郭だけを曇らせてゆく #短歌
湿りたる音の粒子をひろげつつ公園の橋 闇はたゆたう #短歌
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