こころには名前のない棚がありもうないものを並べてみてる #短歌
ピッの音がまるで音符のようだった 朝の構内うすいレモン色 #短歌
「痛くないの」と訊かれた午後に咲く 痛くないことだけが痛い花 #短歌
潮風の中でまばたく練習を 消えないものに指をのばして #短歌
駅ビルと鳩と看板の文字だけがじっと空欄を見ている地上 #短歌
たとえばね「世界」とかいう列にいないグミがひとつ落ちてたバス停 #短歌
つよくなれって言われたときのわたしはふせんと同じ色してました #短歌
ソーダ味だけ売れ残ってる自販機とどこかでずっと沈黙のまま #短歌
しゃりしゃりと誰もいない午後を食べるバニラという名の雪のなかから #短歌
おまじないも祈りもなしででもちゃんとぬれたままで置く傘の気持ち #短歌
どの国にも行かないままで麦茶飲む 地球儀にはないソファの角で #短歌
見えなくなくなってよかったものが多すぎてかすんだ船もそのひとつです #短歌
錠剤の空いた銀色ひらがなで始めた夜の慰霊祭です #短歌
曲がれないカーブをわざと曲がるきみ 反射ベストの星がゆれてる #短歌
恥ずかしい泳ぎ方よりカッコいい溺れ方を選ぶ国民性 #短歌
北ってどこだっけと思いながらでもごちそうさまの角度は守る #短歌
雑にかじられた気持ちで駅にいる おいしさとかも残ってるけど 短歌
サーチライトよけた指先 ひとさじの寂しさごとに紅茶を淹れる #短歌
漕ぎすぎて胸が痛いよ このままじゃ飛べない鳥と同じじゃないか #短歌
ひとくちがやけに熱くてさびしくてコロッケの音がまだ口にある #短歌
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