7月28日日曜日。
私のような暮らし、私のような世捨て人という2点から、日常でのハプニングはきわめて少ない。日々是好日というか、毎日が予定調和である(ことを望んで暮らしている)。
が、細々ながら社会とは繋がっているので、侵入される小さな穴はある。
午後3時頃、スマホに電話がかかってきたので出た。未登録の番号だった。
掛けてきたかたが名乗った。あ、知ってるぞ。
もう20年近く前、広島で被爆体験をされたかたが書籍出版部に原稿を送ってきた。私はフクヘンという雑用係で、こういう厄介な対応をする立場にあった。一読して企画会議に諮ってみようと考え、自ら企画書を書いた。その月の企画会議であっさり落ちて一応結着した。が、考えるところがあって、その被爆女性に改めてアポを取り会いに行った。
それから5年くらい経って会社を早期退職した。企画は通らなかったがずっと心に引っ掛かっている書き手の何人かに、会いに行った。そのうちのお一人が被爆体験者だった。
電話を掛けて来たのは被爆女性の長女だった。亡くなったのか、と気を回したら、「母は94歳になりましたが、まだ健在です」と。
用件は「わたし、波瀾万丈な人生を送ってきました。自分のことで一冊の本にまとめたい」と言うのだ。自費出版物? 原稿は誰が書くの?
なんだか話が茫洋としていて、よくわからない。
が、この長女さんは都内でも3つの指に入る女子系進学校卒で、いまは開業医をやっていらっしゃるくらいなのでバカではない、というか才媛の還暦さんである。
相手が電話を切るまで辛抱強く話をお聞きした。
夏の暑さが和らぐ9月にもう一度私に連絡するとのこと。
不思議な電話だったが、こういう私へのアプローチはたまにある。迷惑半分、面白半分。地味に生きたい、というマイ・ウェイは死守したいけど。
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