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2023年11月10日20:44

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鬼怒川温泉と龍王峡トレッキング

 11月8日(水)の朝9時過ぎ、鎌倉駅で横須賀線上り列車に乗り込んだ。目的地は鬼怒川温泉駅。全線各駅停車の電車に乗る心づもり。湘南新宿ラインで栗橋、東武鉄道日光線で栗橋から下今市駅、鬼怒川線に乗り換えて鬼怒川温泉駅。
 いきなり予定していたプランが崩れる。横須賀線と湘南新宿ラインとも遅延で、目的の東武鉄道日光線電車に乗れそうにない。
 結局は予定到着時間より1時間半遅れで午後3時前にようやくと鬼怒川温泉駅着、新書1冊を読了できたことは幸いだったが、毎回乗るたびにJRは遅延が発生していて、不信感が募って気疲れした。かつては時間の正確性で断トツ世界一、などと自画自賛していたニッポンだが、日本の衰退とまるで連動するかのように、関東周辺のJRはルーズになってしまった。いまや各線が繋がったために長距離列車となり、どこかでトラブルが発生すると各線に影響が出てこのような為体になる。
 鬼怒川温泉駅では期せずして「SL大樹」に遭遇。鉄ちゃんと家族連れがSLの前に群がっていた。
 宿まで歩いて5分程度。駅から温泉街の巡回バスもあるようだ。
 宿に着いたら、チェックイン手続きを待つ宿泊客がロビーに溢れていた。整理券を受け取って10分近く待ってからようやくチェックインできた。たぶん満室。
 しかしラッキーなことに貸し切り風呂が予約出来た。
 早速。大浴場というか露天風呂に浸かって精神的な疲れを癒す。
 部屋に戻って、宿から10分くらいの位置にあるふれあい橋まで散歩へ出た。ちょうど夕暮れ時で、橋に照明が灯っていて、いい感じ。鬼怒川の風景がまるで枯山水のような渓谷に見えなくもなく、ようやく旅に出た気分になれた。
 夕食はバイキングで、私が指定された時間は午後6時。この格安チェーンホテルはその昔、稀に見る質素なバイキングだったのだが、大きく変わった。ファミレスの全メニューが一堂に会したようなバイキングとなり、味もファミレス並みになった。季節柄カキフライが用意されていて、調子に乗って3個も取ってしまう凡ミスを犯す。15種類くらいの料理を少しずつ取ったので、食べ終わったら腹十一分目になってしまった。明日は控えめにしなきゃな、と自戒。
 貸し切り風呂は午後9時〜9時40分。満幅感から大浴場には行かず、部屋で千早茜の文庫を読み始めた。しかし、部屋が広くてどうも落ち着かない。和室10畳と4畳くらいの洋室に2ベッド。
 旅ではビジネスホテルの狭いシングルルームが好みだ。普段、自室は10畳の部屋を使っていて、そこそこに広い。その反動で、手を伸ばせばなんでも届くような狭さを求めている。
 午後9時から貸し切り風呂へ。脱衣場が6畳だか8畳だかの和室仕様になっていて、これも心がこそばゆい。陶器の浴槽に身を浸した瞬間、温泉がヘリから溢れ落ちる。贅沢と言えば贅沢だ。
 時間ぎりぎりまで使って、フロントへ鍵を返しに行った。
 チェックイン前、コンビニでペットボトル入りのクリームソーダを購入していた。久しぶりにペットボトル飲料を飲む。美味しいとは言えないまでも、温泉のあとに冷たい炭酸飲料は効く。
 この夜、睡眠薬が効かず困った。夕食バイキングでコーヒー2杯を飮んだのが悪かったのか。それとも精神的な昂ぶりが原因なのだろうか。結局寝たのは午前2時近かったと思う。普段より1時間程度、後倒しになってしまった。

 9日朝7時40分起床。8時からバイキング。早くコーヒーを飲みたいな。
 朝食バイキングはごくありふれたもの。食事はさっさと済ませ、あとの時間はコーヒーを2回もお替わりして9時までだらだらしていた。
 部屋に戻って身仕度を調え、今回お目当ての龍王峡へ。
 鬼怒川温泉駅ではなく鬼怒川公園駅まで歩いて行くことにする。途中、閉館した温泉宿がいくつもあって、廃墟マニアの「聖地」「聖域」なのだそうだ。
 結構距離があった。駅に着いたところで早くも歩き疲れ。
 野岩鉄道で龍王峡駅へ。
 駅前は観光客(というか登山客というか団体客というか趣味同好会というか……)で大混雑状態だった。紅葉の季節でトレッキングには最高の季節ゆえ、人が押しかけるのも肯けられる。
 龍王峡がなんたるかを私は全く知らない。ネットで調べることすらしてなかった。とにかく歩けるだけ突き進んで、電車の時刻に合わせて引き返すだけだ、と。電車の本数が極端に少ないので、これだけは事前に調べて印刷しておいた。
 歩き始めてこれほどに長く続く渓谷ハイキングコースは珍しい、ということがわかった。歩いても歩いても小径は目の先にあって、岩場もあれば木道もある。両側がうっそうとした森であったり木々の間から渓谷美が見えたり20分歩くごとに滝がある。この日のためにデジタル一眼を持ってきたのだが、撮影スポットがたくさんあり過ぎて、撮影にこり始めたら帰りの電車に間に合わない。
 景色と同じくらいに感心したことがある。
 平日ということもあって総じて老人が多かった。大半が私より年配だ。そして杖をついている人が目立った。足腰が弱っているかたもちらほらお見受けした。しかし皆さん、悪い足場なのに着々と歩まれている。励まされたような気分になる。
 広葉樹の黄葉や紅葉もキレイだし、奇岩と断崖絶壁の渓谷も美しい。が、トレッキング道をゆっくりと歩く人の姿は更に美しい。
 無計画でちゃらんぽらんな旅を私はいつまで続けられるのだろう? やがて膝がちょっと痛いくらいの身体になって、こんな悪路にチャレンジするだけの気力が自分にはあるのだろうか?
 1時間10分歩いたところで予定どおり引き返すことにした。このあたりまで来ると、ハイカーはほぼ全員、熊避けの鈴をリュックに装着していた。
 電車が来る15分前に駅まで戻った。ソフトクリームを食べたかったが、予めリュックに入れておいたデニッシュを半分食べ、マイボトルの紅茶で喉を潤した。
 ホテルには午後2時45分着。チェックインを待つ宿泊客を尻目にルームキーを受け取り、さらに貸し切り風呂も予約。昨日とは違う浴槽が檜の風呂を選んだ。 
 午後3時、大浴場で身体を湯に浸す。ふくらはぎを軽く揉んだり、両手をぶらぶらとさせたりしながらまだ誰も入っていない湯を堪能。
 疲れたぁ。昼寝をしたかったが、もし寝てしまったらまた不眠に悩まされるかも、という恐怖。
 10日ほど前に献本を受け、その礼状を鬼怒川から出すというのも今回のミッションなので、部屋に戻ってはがきに一字一字丁寧な文字をしたため、書き終わってすぐ、散歩がてらポストに投函しに行く。ああ、これで今回の旅の目的も9割方、終わったと安堵。
 夕食バイキングは昨夜の6割程度に抑えた。
 貸し切り風呂ではやっぱ贅沢気分を味わえた。
 夜は予定通り、午前零時半に眠れた。
 
 10日金曜日。
 帰路は予定していた電車に乗ることが出来た。
 何もしない旅、テキトーな旅が終わってしまった。また衝動的に家出をしようと思う。
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