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2023年02月22日10:55

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クラシックアートとモダンアート フランスでの風景画の復権

クラシックアートとモダンアート フランスでの風景画の復権
 日本人には、なかなか理解し難いことなのだが、西洋絵画では、絵画のジャンルによって格差があって、人物画が上位にくる。風景画や静物画は下に見られていた。日本の絵画は、メインが風景画であり、花鳥風月が絵画の大きなテーマとなっているため、風景画や静物画、動物画を重視する。人物も風景の中の要素として捉える場合が多く、浮世絵などの描写では、それが際立っている。これに影響を受けたのが、印象派の画家であるモネで、モネは、人物を風景の一部として描くのだと言っている。クラシックアートの世界でも、必ずしも風景画が、下に見られていた訳ではないのだが、(ネーデルランドでは、風景画が人気だった。)王族の肖像画や、宗教画、神話画など、人物画を重視する傾向は、西洋絵画の特徴でもあった。フランスで、新古典派が、力を持って画壇を牛耳っていた時代は、極端な人物画崇拝の原理主義的な傾向が強く。風景画は、なかなか認められ難い環境になっていた。それでも、革命が起き、共和制の政府になると、クラシックアートの原理主義が封じ込められ、風景画家のコローの作品や、貧しい農民を描いたミレーの作品が、高く評価されたりと、政治体制によって評価される絵画が変わっていった。フランスでは、革命が起きたとはいえ、王族派の人間は、まだまだ多く、完全には、共和制に移行していなかった時代があり、その時代に、絵画の世界でも価値観が混乱する事件が起きていた。サロンから、反新古典派の絵画を追い出そうとした事件などが、それにあたる。落選展が開催されもしたが、これは、政府が、偏った絵画の価値観を抑える狙いもあったようだ。さまざまな絵画の価値観が対立していた時代でもあった。印象派の時代になると、一昔前の対立は、収まりつつあり、そこまで、印象派が、攻撃されていた訳ではない。印象派の擁護派もいて、理解できない守旧派を、からかったりもしている。ただ、フランスでは、社会的に、風景画が、高く評価されていた訳ではなかったことは事実だ。風景画を下に見るグループと、新しいムーブメントとして高く評価するグループに別れていた。新古典派が、風景画を描くことは、ほぼなく、彼らにとっては風景画は、格下の絵画という位置付けだった。そのため、そういう発言も多々見られる。印象派への批判は、そのような価値観の元で行われたところもあった。この辺りは、風景画を高く評価するのが普通な日本との大きな違いであり、理解し難い部分でもある。風景画への根拠のない低評価は、モネにとっても我慢のならないことだった。これは、印象派の画家の共通した認識だろう。このような対立の最中に、印象派に参加しているセザンヌが、サロンに執着して、サロンに出品を続け、落選し続けていたことを、他の印象派の画家は、良く思わなかった。この辺りに、セザンヌの独自性や、個性があるのだが、印象派の画家達には、セザンヌが理解できなかったようだ。セザンヌがやろうとしていたことと、印象派の画家達がやろうとしていたことには、乖離が生じていた。後に、セザンヌは、印象派の絵画の問題点を指摘するようになるが、印象派の擁護派でもあったゾラが、印象派を批判する理由と被る部分があるのではないかと推察する。この辺りは、冷静に分析しなくてはいけないだろう。モネが、風景画の復権を願っていたことは、確かで、それは、実現する。フランス人は、元から、華やかな色彩の風景画を好む傾向があり、それを、クラシックアート、特に、新古典派の原理主義的な思想が、押さえ込んでいた面があった。革命によって、価値観も解放され、フランス人好みの絵画が誕生し始めたのだ。ここに、その後、新古典派が衰退する理由が現れている。革命も起こり、王族が処刑され、社会の価値観も大きく変わった時代。絵画の価値観も、大きく変わるのは、当然の流れだった。クラシックアートは、美術館に住処を得、市井では、人気を失っていく。モネは、風景画の復権に成功する。そして、それは、世界に波及していった。ただ、日本においては、さほどのインパクトがなかったのは、元から、風景画は、高く評価されていたためだ。日本は、風景画の名作にあふれ、多くの優れた風景画家が存在する。むしろ、人物画にやや弱さがあったこともあって、熱心に人物画をメインとした西洋絵画を学ぶことになった。石膏デッサンに力を入れていたのも、そのような方向性があったためだろう。また、日本画との確執を生んでしまった理由も、そこにあるようだ。絵画の世界は、価値観の対立や、確執だらけの世界だ。偏った肩入れは、本当の絵画の姿を見誤る。
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