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2021年08月11日16:49

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気力は30歳代、体力は80歳の私が行く旅(その1)

 山梨に出掛ける前の1週間、夜ごとUSBメモリーに21世紀以降の和洋ポップスをダウンロードしていた。クルマに付いているカーステはCD読み取りがなく、iPhoneかUSBメモリーの音楽ファイルを再生する最小限のオーディオシステム。YouTubeには最新ヒット曲のPVやライブが上がっていて、CDで聴くのと大して遜色のない音質というのが多い。
 カラオケの趣味が全くないことに加え、古い曲を懐かしむという気持ちが乏しい。若い頃に聴いた曲を聴き直すのは夜、無聊をかこつ時くらいなもので、日中に聴きたいとはまったく思えないどころか、はっきり言うと嫌いなのである。なので、古くても2011年以降の曲を中心に次々とヒット曲をMP3化してUSBメモリに移した。数えてはいないが、60曲か70曲。Yoasobiの幾田リラとかラップのKrevaらの歌を聴いていると、この50年で随分とボーカル「力」が上がったとしみじみ思う。子どもの学力・人間力も同様だ。なにもかもが進化している。
 爺さん(私)は2021年の恩恵を受けたい。
 しかしたった2曲だけ20世紀の曲をメモリに入れた。アランパーソンプロジェクトの「シリウス」(https://www.youtube.com/watch?v=jdyto5rf0HU)と日向敏文の「異国の女たち」(https://www.youtube.com/watch?v=dYu7ZBR785Q)で、この2曲はオーバーヒート気味の頭に冷却ファンでそよ風を送ってくれそう。
 地方住まいの人を除き、友人・知人でクルマを持っている人が少なくなった。中距離ドライブ(片道150キロ)をするという人は皆無だ。そういう歳頃になった。
 8月7日、甲府のビジホをカーナビで検索して目的地にした。途中、天候が不安定で、トンネルを抜けるといきなり大雨だったり、山梨県に入ったあたりはピーカンの酷暑で、クルマのエアコンが効かなくなった。車検でケチったツケが回ってきた、ということ。甲府までに2回休憩を挟んだ。そんなパーキング・エリアあった、みたいなマイナーなところで、これはたとえば談合坂サービスエリアのような混雑がないところを心理的に欲したから。お盆の墓参りと四尾連湖の小屋体験という目的があっても、疚しい。
 甲府のホテルは繁華街のある南口とは線路を挟んで反対のところにある。が、八ヶ岳高原観光目的なのだろうか、昭和のボロホテルなのに満室だった。
 チェックイン後、歩いて5分のスーパーへペットボトルと菓子パンを買いに行き、いったん部屋に戻ってしばし休憩してから北口近くにある老夫婦二人でやっている中華そば屋へ。6時前だったせいか客は最初から最後まで私一人だった。
 甲府城でも訪ねるかという気もないではなかったのだが、食べ終わってすぐにホテルへ戻り、30分くらい温い湯をはったユニットバスに浸かって持参した文庫を読み始めた。
 これが面白い! 仲間由紀恵と阿部寛主演の「トリック」よりも面白い。
 結局、午後8時くらいまでだらだらと読んで、読み終わるのがもったいなくて残り30ページのところで止めた。
 五輪は今日明日で閉幕だったよなあ、と思いつつ、テレビを付けてみたら「野球」の決勝戦がライブ中継されていた。15分ほど見ていたが、つまらないので止めた。このつまらなさなら、自分が苦手とする詩集でも繰るほうがまだしもよかろう。持参したのは『詩の中にめざめる日本』という岩波新書で、一般的な民衆や有名詩人の詩を同列に掲載して、詩とはなんだろう、日本人ってなんだろうと問う一風変わった詩集だった。
 小一時間ほど読んだら、飽きた。関係ないことだが、冷房は全館空調らしく、ファンを「切」の位置にしているにもかかわらずどんどん冷えてくる。客が多いのでホテルの大サービスかもしれない。部屋にはホテルのWi-Fiが飛んでいるので、途中途中にiPhoneでニュースを見たりmixi日記を書いたりした。
 そうこうしているうちに午後11時を回ったので、今一度シャワーを浴び、清涼飲料水をがぶ飲みして、しばしのち入眠剤を服用。しかしなかなか効いてくれず。
 翌朝8時ジャスト、無料の朝食を食べにロビー脇の小さな食堂へ。
 おかずは生卵1個、得体のしれない海藻を煮た小鉢、漬物少々、味噌汁で、建物が昭和30年代(?)なら、朝食の内容も昭和30年で、いいところに泊まったもんだと思う。生卵を食べられないので、焼いてもらった。しかし1個分の卵焼きってほんのちょっとだなぁ。これで小さな丼いっぱいのご飯を食べるという技は大学時代に遡る。金に窮したときにコロッケ1個(15円)、わさび漬け(10円)、味噌汁(10円)、ごはん中(40円)というようなランチをたまに食べていたものだが、食に勢いがあったので、ごはん全部を食えた。が、いまはどうか?
 当然、食えず。ごはんを半分残してしまった。コロナ下に泊まらせていただいた上にごはんを残し、本当に申し訳ない。
 小さな食堂には中年ご夫婦、若いカップル、いかにもビジネスマンというような人もいて、皆さんこの朝食をどのように思われたのだろう?
「五輪新記録の粗食、ってとこですかね」(41歳、営業マン)
「これから登山なので、ごはんの量が多くてありがたい」(48歳、自営業)
「彼が食べているところを見るのが好き!」(21歳の女性)
 などと私は妄想してみる。
 さあて、武田神社を参拝してから笛吹市の墓地へ行くか。
 館内は涼しいのにホテルを一歩出ると、駐車場から湯気でも立ったかのように霞んでいた。私の緑内障が進行しているのかもしれない。

この項、つづく
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