mixiユーザー(id:6486105)

2021年04月06日17:04

104 view

だらだらとここ数日間のことと、廃墟ホテルについて

 先週の金曜日(2日)、午後8時前に夕刊(映画紹介目白押しの曜日)を読んでいると、読む記事読む記事が興味深く、もう何年も映画館に行ってないので久しぶりにどれか一本、劇場で見てみるか、と思った。恥の意識——映画は動画配信の400円で観るもの、と軽んじている自分は下等であるように感じられた。
『緑の牢獄』。かつて西表島の炭鉱で働いた養父とともに台湾から渡ってきた女性の現在。
『騙し絵の牙』。出版社で起死回生を謀ろうとする大泉洋主演のドタバタ喜劇。
『狼をさがして』。東アジア反日武装戦線のセクト員の今を追ったドキュメンタリーで、製作が不思議なことに韓国の映画監督。
 他に、毎回推薦映画を挙げてもらう映画コラムで『かもめ食堂』の良さが紹介されていたのだが、小林聡美と片桐はいりのとぼけた演技とゆるい構成が秀逸だったことを思い出し、昔の友人と街のカフェで偶然出会ったような気になった。フィンランドが舞台なんだよな。
 日記を書こうとMacbookProを起ち上げたら、友人の編集者から大長文のメールが届いていて、しばしその内容に関連するプロレタリア文学や戦争体験記をネットで漁ってから、返信を書き始めたら、あっという間に1時間半くらいが経っていて、もう日記書きはいいや、と思った。
 明けて土曜日になったらなったで、今度は郵便の手紙がいきなり3通も届き、うち1通は相手がずいぶんと弱気になっているため、すぐに返事を書く必要があったり、1通は高校の恩師が墨書で丁寧にしたためた手紙で、しかも先生がある雑誌に寄稿された短歌論のコピーが同封されていた。読み終わったら、これまた自分の浅薄な教養に恥入ってしまい、日記を書くような心の余裕がたちまちのうちに失せた。
 夜、YouTubeでミャンマー(ビルマ)の民主化デモを伝える映像(シンガポールやイギリスのニュースや、アルジャジーラ発信の動画など)を、およそ1時間近く観た。日本のトップニュースは相変わらずコロナ一色で「マンボウがぁ」「繁華街の人出がぁ」「居酒屋の客足激減がぁ」と、頭が硬直化したアホの一つ覚えで、次に台湾の特急列車脱線事故から一夜明けた現場の映像が流れていた。後者はともかくとして、シンガポールやイギリスのビルマ関連ニュースのリアルさと人権弾圧に対する怒りに較べて、日本のニュースというのは良くも悪くも当たり障りのないネタと映像ばかり。キッチンカーで美味しそうなハンバーガーを売っている図柄を見せられて、「イイネ!」と視聴者を和ませている場合かよ。新橋や渋谷の公園で、立ち呑み座り呑みをしている連中を嘲笑して国民の一体感を潜在的に煽るような報道姿勢ってどうよ? 昨年の今頃は連日、パチンコ屋の開店に並んでいるギャンブル・ジャンキーを笑い物にしていたことが思い出される。私は酒もパチンコもやらないので、テレビ局の思惑どおり、上から目線になってつい彼らを見てしまうのだが、冷静に自身を顧みると、ルソーの『告白』や漱石の『明暗』で描かれている俗物性や滑稽さは似たり寄ったりなのである。むしろ、意図的にソフィストケートしている分、欺瞞的だと思う。
 明けて日曜日、口寂しくてついポテトチップスを手にしてしまうように、図書館へ行く。1時間ほど、山梨県の歴史散歩本を読んだり、「週刊文春」の「ワクチン敗戦」検証記事や、「週刊朝日」で母校の大学進路先を見てみたり。調査対象142カ国で102位のワクチン接種状況、というのは日本の外交力がこの数字程度だということを表しているように思った。ジェンダー差別ランキングで日本は世界120位というような結果が1、2週間前に出ていたが、こういう各種ランキングを積分してみたらたぶん日本の現在は60番前後だろう。もっとも自分の能力は松竹梅の「梅」に下降した、と見ているので、日本がまだ「松」にいるのなら上等か。
 昨日は図書館が休館日なので、隣町のブックオフへ原付バイクで行った。天気予報どおり、真冬並みの寒さで、身が凍りつくような感覚を久しぶりに覚える。
 今週末、山梨県へ一泊で行く。積ん読状態の本が20冊ほど溜まっているので、その山から一冊抜き取って行けばいいだけの話なのだが、なんとなくホテルの一室用の文庫本を見つけたくなったのだった。なので、文庫棚限定で選ぶことに。
『わたしのマトカ』、片桐はいり著、幻冬舎文庫。
 マトカという言葉が分からないので手に取ってみたら、片桐はいりが「かもめ食堂」の現地ロケでフィンランドを長期に亘って滞在した時に書かれたエッセイ集だった。マトカはフィンランド語で旅という意味らしい。
 二重の意味で「買い」。というのもこの日、出版社からフィンランド系元国会議員に問い合わせ(というか作業依頼)があって、私が仲介するかっこうで、国会議員に電話やメールをしたり、それを受けて問い合わせ先に長いメールを送ったりしていたのだった。さらに先週金曜日、映画「カモメ食堂」を懐かしく思い出したところだったし。
 これは神の思し召しか。まずは片桐さんのエッセイを読んで、感動した部分には付箋をつけてあげて、元国会議員宅に持参しよう。
 しかしこれをホテルの友にするというのもどうかな。
 読みたい文庫の条件は、
1 小説であること
2 殺人だとか推理だとか、気分が塞ぐような事件がないこと
3 一晩で読める薄さであること
4 岩波文庫的な難解さがないこと、古典ではないこと
5 出来れば大人の恋愛小説なんかがよろしい
 こんなところか。
 で、5つ全てに該当する文庫を1冊見つけたので、片桐エッセイ集とともに買って帰った。
 帰宅後、以前から目を付けていて一度電話で問い合わせをした「廃墟ホテル」に予約をいれた。このホテル、楽天トラベルやじゃらんといったネット予約サイトにはないし、当然のことながらJTBのような旅行会社とも全く関係性がない。
 自分が泊まりたいエリアの都市名と、しょぼい、安い、廃墟といった言葉+ホテルで打ち込んだら見つかったホテルだった。
 1週間ほど前に電話をした際、どう質問したらいいのかわからず、いきなり「おたくのホテルはまだ営業やってるんですか?」と尋ねてしまった。
「ええ、やっていますが、それがなにか?」と答えた声から、かなり年配の女性だと思えた。
「ネット予約は可能でしょうか」と訊いたら、「うちのホテルは現在、電話のみとなっています。ファクスももうありません」
 素っ気ない口調も含めて、これは稀に見る廃墟ホテルかもしれない、と嬉しくなると同時に、もう少しお金を足してリラックスできるホテルを予約するのが賢明だとも思った。なので、その場では予約しなかったのだった。
 またあの愛想ない婆さんが出るのか、と不安を抱きつつ、電話をしたら、明らかに違う声だった。が、機械の合成音声か、と思うほどに硬質な声で、これはこれで不安になる。
 しかし思い直した。今時ネット予約さえできないようなホテルに、わざわざ週末を使って泊まるような客はいまい、出来るだけ客が少ないホテルがいいというのなら、このホテルに勝るところなどない。
 料金は素泊まりで3800円だという。朝ごはん付きならプラス700円。
 客は私一人だろう(笑)。そこで一人、期限切れの納豆と、スーパーの特売で買った卵の卵がけごはんと、冷凍戻しの薄っぺらな塩鮭と、ダシをとっていない味噌汁……。
「おかず内容を教えてもらえますか」とは言う勇気はないので、朝食なしで予約をした。
 ぶしつけな質問をするのは失礼だから自重したのだが、「客は私一人ですか」「廃墟とホテルで検索して見つけたのですが、廃墟ですか」「冷蔵庫が使えないって噂は本当ですか」などなど、尋ねたいことはいっぱいあった。
 携行する文庫が決まり、宿も決まった。
 旅の前はいつだって楽しい。
 
7 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年04月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930