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2020年03月27日19:44

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 浜にをり砂まみれの若芽ヺ洗ふ(尾崎放哉)、ひえびえとワカメのすまし汁(山頭火)

 浜にをり砂まみれの若芽ヺ洗ふ(尾崎放哉)
 ひえびえとワカメのすまし汁(山頭火)

 朝刊を取りに玄関を出たら、海方向から猛烈な風が吹いていた。しょうがない、今期最後のワカメ採りに行ってみようか。
 昨夜の11時半頃、MacbookProをシャットダウンさせる直前にメーラーを開いたら友人からメールが入っていた。映画2本を立て続けに観たようで、映画鑑賞で触発されたのか、言葉の有用性が70年代は生きていた、とか、「全てにおいて言葉が衰退している現実を感じた」(原文ママ)というようなことが綴られていた。こんな夜遅くに読むと、頭が7割方、細胞活動を休止しているので、「はあ、そうですか。そうですねぇ」などと適当に相槌を打って、返信しないまま電源をオフにした。
 そのメールの最後は私のワカメ拾いに触れていて、なんとマルクスの「木材窃盗取締法」批判を持ち出し、おそらくおまえはこの逸話を知ってるよな、とあった。
 いえ、知りません。
 
 で、友人に由比ヶ浜産のワカメを食わせてやろう、と朝起きてから考えた。
 冷蔵庫に今年採った乾燥ワカメがある。それをちょっとおすそ分けしよう。もうワカメのシーズンは終わっちゃったが……、いや、待てよ。風速15メートルくらい海から浜に向かって風が吹いているので、養殖ワカメが拡散して半ば天然物になってしまったワカメが根っこごと浜に押し寄せているかも、と思って、とりあえず行ってみる気になった。
 ペペロンチーノの朝食後、海の近くまで行くと、目を開けていられぬほどの砂嵐で、観光客も地元の子どもも、ほぼいない。
 ほうほうの体で浜に下りたら、それでも「ビーチコーミング」にいそしんでる人たちが何人かいた。そうかぁ、こういう日に、ちぎれた漁網とか角が取れたガラス片を拾えるのね。
 波打ち際へ行った。
 数分後にひとつ見つけた。
 しかしなぁ、こんなに成長して分厚くなってしまったワカメなんて食えないかも(苦笑)。
 ミレーの「落ち穂拾い」よろしく、束になった海藻を足で蹴飛ばしてはワカメを探し、見つかったらレジ袋に入れた。
 探し始めて30分くらい。メロンパンとポテトチップスを買った時に包んでくれるレジ袋(中くらいの大きさ)いっぱいになった時点でやめた。
 冒頭に書いた自由律俳句は、もちろん山頭火でも放哉でもありません。mixiで「日記を書く」ボタンを押してから、テキトーに創作。
 
 午後2時、一筆箋に手紙を書き、今日ではなくて前回に採ったワカメを包んで、郵便局まで出しに行った。ラズリの散歩を兼ねている。
 ぐるっと街中を回って、家の方角へ戻ろうとしたところで、ご年輩の女性がラズリを見て立ち止まり、「可愛らしい! とても可愛い」と声を掛けてくださった。
「コリーの仲間ですか?」と問われたので、「ボーダーコリーという牧羊犬です」と答えた。
「わたくし、保護犬を飼っておりました。コリーの仲間です。犬のことが好きで好きで、亡くなった今でも遺骨を持っているくらいにずっと好きなんです」
 この犬も保護犬ですよ、と言って、うちに来た経緯を話すと、ご婦人はひざまずくように座り込み、ラズリの頭を撫でた。
 その瞬間、ラズリが飛びかかった!
 あっ、と声をあげる間もなく、ラズリはご婦人の籐で編まれた買い物カゴの中に顔を突っ込み、幅12センチくらいのパンを口にくわえていた。
「よくわかるわねー。いま、逗子の図書館と”すずきや”(高級スーパー)から戻ってきたんですけど、すずきやで買ったパンをいま鳥たちにあげたところだったの」
 一気にパンを呑み込んだラズリは、浅ましいことにご婦人の足元にぴたっと体を寄せているではないか。しばらくご婦人はラズリの顔や背を撫でたあと、今度は自分からパンを取り出し、「もう一個与えてもいい?」と私に訊いた。
 私より先にラズリが「もちろん!」と自ら答え、そのパンをいただいたのだった。今度は味わいながらゆっくりと食べていた。小憎らしいワンコである。
 78歳になるのでもう犬は飼えない、とご婦人が言ったので、即座に「そんなことはありません。老犬を看取るボランティアだってあるじゃないですか、それなら3年でOK!です」などとたいへん失礼なことを言ってしまった。俺、ホントに最低だな。
 それにしても、ラズリがいきなり飛びかかる姿を初めて見た。こいつ、こんなにすばしっこい動作をするのか。 
 犬嫌いの人も世の中には大勢いるから、今後は注意しないと。
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