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2018年11月28日20:34

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馬鹿な女

 午後イチ、とてもイヤなものを見た。
 逗子駅の真ん前に「魚左次」という魚屋がある。私が鎌倉に越してくる前から長らく店を開いてきた、謂わば逗子のランドマーク的な存在だ。
 私は、魚左次の前で歩行者信号が青に変わるのを待っていた。と、すぐそばで同じく信号待ちをしていた女性がやおらハンカチを手に取って鼻を押さえた。魚左次は大きな店舗で、あたり一帯は独特の魚臭さが漂ってはいる。が、小学1年生でもあるまいし、一般的なおとなは顔をしかめてハンカチで口元を覆う、というような真似はしない。
 まじまじと女性の横顔を見た。どんなひとなのだろう。着ている服が高いのか安いのかはわからない。
 信号が青に変わったので、つつっと早足で歩き、渡り切ったところで引き返して、彼女の顔を正面から見てみた。装飾的なメガネは、安価なメガネ屋で見かけないようなデザインなので、たぶん逗子か葉山在住の「上流」夫人なのであろう。但し、たいそう頭が悪いか、極端な差別主義者かのどちらかで、社会的な訓練がなされていないある意味の「野生児」だとも言える。まるで記憶に留めるかのように、まじまじと彼女の顔を凝視した。
 いかにも不潔そうな臭いのひとと隣り合わせになった時、内心では不快に感じる。が、それを顔には出さない。ましてやハンカチで口元をふさぐような真似はしない。
 この「ババア」を見ていて、思い出したことがある。5、6カ月前、朝日の投稿欄「声」に掲載されて、翌週に再度特集扱いになった意見だ。
 ゴミ収集車に携わる男性が「ゴミの集積所でイヤな顔をされたり、走っていても苦情を言われたりする。日常茶飯事なのでつらい」という声を投稿し、同業者の同体験や読者の意見が紹介されていた。
 今年から小学生が「道徳」必修になったらしいが、どうしても道徳を説きたいのであれば、まずはこういう公衆道徳や、職種に対する差別をなくそうというような内容であろう。いや、その前に、ひとから預かったお金を自分に利するように使ってはいけないとか、ウソをついたり、質問の受け答えをはぐらかせたり、出来もしない公約を掲げて選挙を戦ってはいけない、というほうが先かもしれないが。
 今日の魚左次では、ワラサ(鰤の小さいもの)が丸で400円、大ぶりなスルメイカが600円。三浦半島周辺で獲れた魚が半分以上を占めているので、新鮮さと安さが売りだ。
 
 朝、物置を引っかき回して、鞄を探した。まだ新品に近いベネトンのショルダーバッグで、昨日不意にその存在を思い出して、使いたくなったのだった。
 15分くらいで見つかった。なんとなくカビ臭いので、洗うことにした。こういう場合は洗濯の洗剤かいいのだろうが、派手なカラーが漂白されるのがイヤさに、手洗い用の液体石鹸で洗ってみた。
 逗子から帰宅したら、ほぼ乾いていたので、部屋に取り込んだ。
 ジジイの街歩きには派手かもしれないな。
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