夜8時、鎌倉駅に着いて、とうきゅうストアで見切り品扱いで売られているお弁当とイカのリング揚げを買った。急いで家路に向かう。家の近くまで帰ってきたら、祭り囃子が聞こえてきた。昨日と今日は地元神社の夏祭りが開催されている。海のエリアは海開きが夏の合図だが、私が住む街はこの祭りが夏を告げる。
今日は自宅を午前11時半過ぎに出た。午後、作家さんお三方と会うことになっている。会場は京王プラザのカフェ「樹林」。どこかで簡単に昼ごはんを済ませ、落ち着いた気分で臨もう。
横浜で下車してほんの10分間ほど有隣堂に立ち寄ったあと、東横線に乗り替えた。
新宿に着いたら午後1時20分。待ち合わせは2時なので、立ち食い蕎麦くらいだろう。西口地下にある「箱根そば」でかき揚げ蕎麦を食べ、京王プラザに着いたら午後1時45分だった。京王プラザはかれこれ10年ぶりくらいか。
たぶん、2時間くらい話し込むはずだ。
そのあとは新宿中央公園集合の「共謀罪施行に反対する7.9デモ」に作家さんと参加する予定でもある。
「樹林」は日曜日ゆえか、満席状態だった。日時が決まった際に予約電話を入れたのだが、喫茶の場合は予約不可だったので少し早めに来たのだが、案の定悪いほうの予想が当たったのだった。
全員が揃ったところでもまだ5組待ちの状態だったので、物見遊山を兼ねて都庁最上階にあるカフェへ場所を移すことになった。私以外は都民なのだが、全員都庁の庁舎に入るのは初めてとのこと。
話は午後5時まで弾んだ。
せっかくなので45階からの眺めもしばし楽しんでから、中央公園へ。
ざっと見たところ、参加者は500名くらいか。
公園ではメッセージ色の強いバッジやグッズを売っていたので、白地に「9」という数字が黒で描かれた缶バッジを買う。これ、欲しかったんだ。
今日は妻も終日東京なので、懸念はラズリのトイレと食事の世話だ。とりわけ前者は長時間だと「虐待」になる。ラズリは賢いのか私と住まいに忠実なのか、家の中で排泄は絶対にしない。
午後6時半には新宿を出て午後8時に帰宅しなければならず、デモは新宿駅南口が見えてきた地点で中退。走るように電車に飛び乗った。
電車のなかで、ある原稿を読み始めた。それは亡くなった友だちの、未完にして初めてといっていい小説だった。
そこには、私に見せようとしなかった彼の本音と生真面目さが描かれていた。うすうす知ってはいたが、こうして彼の手による文章を読むと、改めてこいつと知り合い、こいつと馬鹿話で盛り上がり、タバコの煙をすぱすぱと互いの顔に吐き合ったことは、私にとって宝物だとさえ思える。車中、愛しさがこみ上げた。
自宅に戻ったら、玄関でラズリが尻尾をこれ以上ないほど振って出迎えた。もしあと10センチ尻尾が大きくて体重が5キロ軽ければ、ヘリコプターの原理で宙に浮くのではないか。
すぐにドッグフードと冷たい水を与えた。ドッグフードにはとうきゅうストアで買ったイカのリング揚げを3つ、ご褒美代わりに乗せた。
私も同時に晩の餌となるお弁当を10分足らずの時間で食べ、ラズリを散歩に連れ出した。大きく町内会を一周する、その間、祭り囃子はずっと聞こえていた。
ラズリは2回おしっこをし、2回ウンコをした。
犬友だちに、5年ぶりくらいで偶然会って、立ち話をした。彼女は、たぶん75歳くらいになられたはずだ。2匹の犬はともに15歳になったそうだ。
「もうこの子たちが私の最後の犬になる、私のほうが先にいかないよう、頑張るだけ」と言う彼女に、「そうですね」と私は失礼ながら即座に肯定した。
「もし自分を頼る犬がいなかったら、朝起きるのがきっとつらくなるでしょう。面倒に思うことでしょう」
そのとおりよ。この子たち、もう目がほとんど見えていない。私が最後まで看てあげないと……。
人生ってまるで文学のようにせつなくて美しい。
今日はこんな一日。
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