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2016年01月30日21:35

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しあわせのかおり

 深夜、雨の音が強まった。
 ベッドの上でサッカー五輪予選イラク対カタール戦を観る。iPadでサッカー中継を見るのはどうかな、と懸念したが、思ったほど見にくくなかった。地元のカタールが押し気味の展開で、案の定前半のうちに先取点を入れた。前半が終了した零時半の時点で入眠剤を服んで、iPadの電源を落とした。
 朝、起きて試合結果を調べてみたら、イラクが逆転勝ち。朝刊を開いたら正午からNHKBSで再放送されることが分かったので、後半はテレビで見てみよう。
 リライト原稿をプリントアウトする前にもう一度ざっくり目を通したら、直したい箇所がいっぱいあった。なので今日明日でもう一回チェックすることにした。小さなことなんてまあいいやと基準を下げたら、やっぱダメだ。
 午後3時前に集中力が切れたので、雨も降っていないことだしラズリと散歩に出た。体調がイマイチなので少ししんどい。
 横須賀野菜の直売所近くまで来ると、普段は絶対に引っ張らないラズリが前へ前へと走ろうとする。首輪をゆるくしているので、縄抜けしないかとひやひやだ。今日は手前50メートルの地点から抱きかかえて行った。小型犬ならまだしも、でかい犬を重たそうに抱えている姿って奇妙な光景であろう。
 着いたら「待ってたよ、ラズリちゃん」と声を掛けられ、今日はトマトをもらった。2個3個と続けざまに与えてくれたので、「きれいなトマトなのでもったいないじゃない」と言うと、氷ってしまったので売り物にならないのだと言われた。「仕方ないから捨てちゃうの。まあせいぜいトマトソースくらいしか使えないし」というので、「あら、それならもらって帰って、トマトソースを作ってみます」と応えたら、喜んでくれた。
 ラズリ、うちに戻ったら、また2個か3個あげるぞよ。
 帰宅後すぐにトマトを湯煎して皮を剝いた。結構な量だ。
 それを深いフライパン風の鍋に入れ、30分くらい煮詰めた。水分が飛んで量が1/2になったところで火を止めた。
 ソース作りのあと、部屋で映画を一本観る。中谷美紀と藤竜也が主演の『しあわせのかおり』。舞台は金沢の郊外、海に近い町の中華料理屋だ。
 中谷が扮するのは夫を亡くしたシングルマザーのデパート営業開発部の女性。彼女は社の命令で蟹シューマイが絶品の「小上海飯店」を訪ね、ぜひ出品して欲しいと中国人の料理人店主(藤竜也)に頼むのだが、すげなく断られる。以来、彼女は毎日のように店に通う。当初は顔つなぎ目的だったのだが、店主のつくる料理に心底魅了された。そんな折、店主が脳溢血で倒れる。そこから一気に人生とは困難や理不尽なことに直面してはそこから立ち直っていく、というドラマツルギーが始まっていく。
 中谷美紀が涙を流すシーンが3回出て来た。そのたびに私も泣いた。
 起伏のある映画ではなかったし、特段悲しい話でもないのに、場面場面に感情が支配されるような造りで、30分ごとに泣けるのである。藤竜也の好演が渋くて、これが感動する素地を作っている。
 いつの頃からか、中谷美紀を信頼するようになった。『雨鱒の川』『繕い裁つ人』くらいしか観ていないのだが、彼女の演技についても、映画を選ぶある種の自己プロデュース力についても、安心できるようなところがある。
 ひょっとしたら映画館で観るべき映画じゃないかもしれない。ちんまりとパソコンの画面で観るのがいいような、地味な映画だ。私は映画に於いてもインドア派なので、この手のテイストが合っている。
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