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2015年07月01日22:33

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東京国際ブックフェアへ

 頬を押さえながら上り電車に乗って上京。まだ痛みはあるが、鎮痛剤を服むと気が紛れるくらいの痛さになってきた。
 東京国際ブックフェア、今回が第22回だそうだ。私は仕事柄、というより参加したくなるイベントが少ない人間なので、これまで欠かさず通っている。今年は体の不調でついに途切れるのではないかという不安が今朝の時点まであったので、国際展示場に入館できた時点で半ば達成感が生まれた。まったく低次元な話だ。
 21世紀に入ってブックフェアの会場はかつての勢いが失せ始め、参加する版元の数は減少の一途をたどっている。いまや主だった出版社は軒並み不参加かブースの規模を最小に抑え、代わってデジタルコンテンツ企業の占めるスペースが増加してきた。が、そのデジタルも今年は勢いに衰えが見え始め、夢を追う華やかさはもはやない。安倍自民党が調子に乗ってマスコミの反対勢力を駆逐しようと企みだしたり、国立大の文化系を縮小させる方針を打ちだすのは、ひとつにマスメディアの表現力や創造力が落ちてきたこと、もうひとつは国民総体が反教養主義になって小難しい文化がなくてもメシは食えるしそのほうが楽しいという気分になってきたからだろう。出版売上は最盛期から4割も減少し、凋落に歯止めはかからない。
 ブックフェアと同時開催で「クリエーターEXPO」という付随するイベントがある。作家&ライター、イラストレーター、アーティストらが間口2メートル弱の小さなスペースで思い思いに作品を展示したり、会場に集う人たちに営業をしたりして自分をアピールする場にしている。
 ここには知人の作家が第1回目からずっと参加しているので、当然のごとく彼女のブースを訪ねて「年1回の同窓会に行くような気持ちで訪ねました(笑)」と挨拶をした。5分ほどこの1年の近況を報告し合って、クリエーターたちの作品を見て回ることにした。
 この絵、好き!
 あの絵、上手い!
 展覧会で絵を見るのと同じである。
 そねはらまさえさん、小堀なゆたさんの、ともに愛情豊かな目で子どもを描いた作風に二重丸。時代を長らく経ても、いわさきちひろは確かに生まれていく。日本のお家芸だ、と思う。
 共に女性だから言うわけではないが、どうも男性は女性に較べて身体性が劣っているような気がしてならない。身体性が売りの男性はもちろん数多くいるが、人間性とか知性とか美しさなどと一体に磨き上げ生活のレベルでも常にそれらを保つとなると、女性のほうが確実にすぐれている! 女は男より偉いという思いは、この領域でも感じる。子どもに対する愛情然り、文学性に富むという点も然り、非暴力な感性然り。
 午後3時前、早期退職仲間と会場で落ち合い、カフェへ行った。彼と私は、たぶん友だちだろう。二人とも友人がいなくても生きられる性格なことも手伝って、年に数回会う程度だが、それで互いに十分である。ともに同時代を生きているという共有意識はあるはずだ。入社試験の第2次テストの時点で知り合い、その後2回の面接が残っているにもかかわらずお互い入社することを前提に喫茶店で話し込んだ。同じ編集部になったことは一度もなかったし、お互い下戸だったのでメシを食いに行ったことも数えるほどしかなかったが、こうしてブックフェアの会場に立ち、カフェでお茶ができるというのはなんと安寧なことだろう。
 ブックフェア会場には5時前までいた。開場は6時までなのでもう少し見て回ろうか、とも思ったのだが、体力が尽きそうになってきたので、早めに出た。繰り返しになるが、それは私の体調だけが原因ではなく、ブックフェア本体がつまらないからだ。有象無象の馬鹿たちがどんどんと歴史をねじ曲げ、自由や平等といった民主主義を否定している今、出版社やクリエーターは踏ん張らねばならない。そして、弱々しい身体性を打ち克つ努力だ。自分にとってもいい反省材料になった。なんだか反面教師が多い昨今(笑)。
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