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2026年11月07日17:50

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11/4 テート美術館 ターナー展ー崇高の絵画、現代美術との対話@国立西洋美術館

ターナー展はこれまでも何回も繰り返されてきたし、大抵テート美術館からきている。直近では、2023年の国立新美術館「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」があった。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985881746&owner_id=2083345&from=list_diary_search
ただ、これはターナーと銘打っていたが、「光」をテーマにした、18世紀末から現代までのアーティストの作品を展示するものだった。その前のテート美術館所蔵展は、ターナーのライバル・コンスタブルだったっけ。じゃ、過去のターナー展はいつかというと、2018年のSOMPO美術館、その前は2013年の都美術館だったようだ。久しぶりってことね。混み出す前に観に行くとしよう。

今回は、油彩画や水彩画中心に80点以上のターナー作品を紹介するとともに、テート美術館の現代美術作品を併置する展覧会になっている。「ターナーの来歴とともに、当時のターナーの問題意識が、現代美術の投げかける問いとどのように呼応するのかを探る」のだそうだ。ちょっと難しそうだが、ターナー自体が時代を超越した抽象画のようなので、感覚で楽しもう。
ターナー以外の近現代作家は15人程度、それぞれが絶妙なところで展示されていて、ターナーの作品の先進性をぐっと引き上げる。こんな効果もあるんだなと新鮮。なかなか面白かった。

写真撮影は、3章以降ほとんどが可。開幕直後の平日であったが、人は少なくない。会期が長いとうかうかしていると、入場制限が入るかもしれない。

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026turner.html
https://turner2026-27.exhibit.jp/
フォト

昨年、2025年に生誕250周年を迎えた、英国絵画史上でもっとも偉大な画家ともみなされるJ.M.W. ターナー(1775−1851年)。彼は、移ろう光や大気、荒れ狂う海や空、または産業革命期に人間が排出しはじめた蒸気や煤煙など、この世界の一定ではない諸相をときに克明に、ときに抽象化して描きだしました。絵画の可能性をきわめて実験的に拡張し、その歴史に新地平を切り拓いた、まぎれもない変革者――それがターナーであったといわなければなりません。そしてこの画家の作品は、18世紀後半にエドマンド・バークやイマヌエル・カントらの哲学者によってさかんに議論され、その後にロマン主義の芸術が論じられるさいの鍵のひとつとなった「崇高」という概念を体現するものとして評価されてもきました。
この展覧会は、世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館の所蔵品から、油彩画や水彩画など、80点以上をご紹介する回顧展です。ターナーの作品群をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿って展示します。しかし、そればかりではありません。本展では、ターナーが描いたものと戦後ないしは現代の芸術作品を各章で併置して対話させることで、その過去の画家の問題意識が時空を超えて後世のアーティストたちの関心とも響きあうことに眼を向けます。そのような展示法を21世紀に国際的に主導してきた機関のひとつが、ほかならぬテート美術館だったといえます。
たとえば、20世紀後半に「抽象的崇高」なる概念とともに語られたアメリカの抽象表現主義の画家たちのターナーにたいする意識を検証します。あるいは、地球環境をしばしばテーマ化してきたオラファー・エリアソン(1967年−)の作品を差し挟むことで、ターナーが生きた産業革命期に端を発するともいわれる昨今の気候変動の問題に眼を向けます。さらに、ターナーの絵画に触発されたラディカルなアーティスト集団、オトリス・グループ(2002年結成)が、すぐれて高度な思考とSF的な想像力によってつくりあげた映像作品――「エッセイ・フィルム」と呼ぶべきもの――を介して、過去の西洋の植民地主義や奴隷貿易を批判的に想起し、こんにち、グローバルに共有されていながらもいまだ解消されてはいない、芸術における脱植民地化や資本主義の再考といった諸課題に迫ります。
本展が、われわれにあらたな経験をいまなおもたらしつづけるターナーの芸術との出会いの場になるとともに、彼が描いたものをつうじて、過去と未来の世界を同時に考えていただける機会となれば幸いです。



序章 暗い部屋
ターナーは自身で画廊を経営していて、客が来るとまず「暗い部屋」に通したという。暗い部屋で感覚を研ぎ澄ませたところで、作品を見せるのだって。光と影の作用に敏感であった彼は日食など自然科学に大変関心を持っていたという。
鑑賞者も序章では暗い部屋に通され、ターナーにの月光を描いた作品を見、現代作家ケイティ・パターソンの無数の光の粒がゆっくりと舞うインスタレーション作品を楽しむ。階下へ。

《月光、ミルバンクでの習作》
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1 はじまりの歩み、英国の風景から
大都会ロンドンで生まれ育ったターナーが、郊外の自然にロマン主義的な憧憬を見出していく。

《コニストン山脈の朝、カンバーランド》 
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展示室の中央には、リチャード・ロングの《レッド・スレート・サークル》
ターナーがダートムーアで見ていただあろう岩でできている。
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2 山々の内部へ
20代後半に初めてスイスを旅し、アルプスの山々と対峙した作品。

《グリゾン州の雪崩》
実際に目撃したかどうかは不明だが、パレットナイフや指を使ったり筆致の工夫を施して激しさを表現しようとしている。
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これに対峙する現代アートは、オラファー・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019 》
アイスランドの氷河を20年後に定点記録撮影したもので、つい最近ネパールの氷河の雪崩災害をニュースで見たばかりだから暗澹たる気持ちになる。20年の間に急速に溶けているのだ。

ターナーもまた産業革命という大きな時代の転換期に生きた。大自然の空と大気を描きながらも蒸気船の蒸気や工場の煙もまた彼の被写体であったわけだ。

《リギ山の頂から見た日没》
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3 歴史的崇高

絵画ジャンルのヒエラルキーでトップの座にあった「歴史画」をターナーも描いた。

《アポロンとピュトン》
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《ティヴォリートビアスと天使》
人物像は眩い陽光に照らされた風景の溶け込む
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《バッカスとアリアドネ》
人物像は風景の中で小さく、黄色がかった橙色のもやの空が主
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4 崇高の都市、ヴェネツィア
ターナーは生涯3回もヴェネツィアを旅している。

《ヴェネツィアの溜息橋、ドゥカーレ宮殿、税関ーカナレット風絵画》
カナレットへのオマージュ。左端にパレットを持つカナレット描く。
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しかし、ターナーらしいのはこちら
《ヴェネツィアーサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》
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《ヴェネツィアー日没、漁師》
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栗原忠二《ヴェニスの港》
ターナにゾッコンだった栗原は身なりまでターナーに似せていたので「栗原ターナー」とあだ名されていたそうだ。ターナーに強く影響を受けた画家は、この栗原忠二と竹内栖鳳だったという。
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5 荒れた海
ターナーといえば海景画。人間を圧倒する自然のこそ崇高であると、ターナーはそれを体現できる荒れ狂う海を好んで描いた。崇高なるものは危険、脅威をもたらすが、絵の中に閉じ込めた時に喜悦、高揚になるという。

《嵐の海と燃える難破船》
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《嵐の中の船》
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《捕鯨船エレバス号万歳!もう1頭獲ったぞ!》
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6 黙想、海と空を見つめつつ
ターナーは、海や空といった自然を描きつつもの、そこに詩的な側面を織り込もうとした。

《浮標のある海景》
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《新月ーあるいは「ボートを失った、きみにフープはやらない」》
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《イースト・カウズの岬からの船出》
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《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》
コンスタブル展でこの作品のエピソードを知ったっけ。
1832年のロイヤル・アカデミー展で、一般公開される前に、コンスタンブルの作品が自分の作品と並んでいるのを見たターナーが、その華やかさにびっくりして「やばい!このままではコンスタブルの作品が目立ってしまう!」と、会場で最後に手直しできる「ヴァーニング・ディ」に、赤のブイを描きたしたという話だった。
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7 根源的崇高ー後期ターナーという問題
ターナーの作品は、晩年にかけて抽象化し、より先鋭的になっていく。まるで抽象画のよう。公に展示されることがなかったようだが、これらの作品が後の世のモダンアートの起源と結びつけられるのは早計、過ちであるとの指摘がキャプションにあった。彼に抽象という概念は無縁だったのだ、と。
後期ターナーの絵画において、色彩、光、大気は単なる平面上の抽象的構成ではなく、人間の周囲に存在する自然の崇高さをどう表現するかが主題だったのだろう、ということかな。

《水のある風景》
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《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂のあるヴェネツィア風景》
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《ヴェネツィア、スキアヴォーニ河岸ー水上祭》
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《荒波とイルカ》
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《三つの海景》
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この《三つの海景》にマーク・ロスコ《無題》が並ぶ。

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ターナーが後世現代アートに与えた影響は大きかった一方、ターナー自体はその先駆者ではなかったのね。ターナーという画家、美術史の中でも飛び抜けたすごい存在なんだなぁ。


アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121494474&owner_id=2083345


2月21日まで


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