結び目をほどく時間も会話だね 笑ってくれた人から夏です #短歌
ぼくよりも靴のほうが疲れたと思えば少し気楽になれる #短歌
靴紐をほどく指先ゆっくりと知らない町へ馴染んでゆく夜 #短歌
「大丈夫」という言葉より抱きしめて重さを分けてくれればいいのに #短歌
透明な水槽に沈むわたしには言葉も鱗もすこし多すぎる #短歌
あたたかい液体みたいな愛ならば沈んでしまえばいいと思うの #短歌
鏡には映らぬはずの重さへとだれかに名前をつけてゆく夜 #短歌
主役にはならないことを選ぶたびぼくはぼくから少し離れる #短歌
見つからないことも存在の条件で沈黙だけが地図を書き換える #短歌
空いた皿そっと重ねる指先に誰にも言わない今日の正解 #短歌
秘密とは世界を一人分だけ狭くする その狭さこそ祈りだった #短歌
「小腹科」という部署があるなら配属を希望するのに人生はない #短歌
新品の朝を着たまま泣けるひと 値札の風がまだやさしいね #短歌
図書館の窓を横切る雲を見て答えじゃなくて整える息 #短歌
本棚の隅で眠っている青がいつかの迷子を待っているように #短歌
倫理とは本棚の順番ではなく迷い続ける指の動きだ #短歌
神様のいない世界に慣れるまで人は祈りを癖として持つ #短歌
神様も死ぬなら少し安心と思ってしまい目を伏せました #短歌
信号の青へほどける足音を風がひとつずつ覚えて帰る #短歌
すれ違う全員に物語がありぼくは脇役にもなれてない #短歌
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