具象絵画の復権 政治的プロパガンダが具象絵画を痛めつける
冷戦の時代、今の若い人には、冷戦と言ってもピンとこないかもしれない。西側と東側が睨み合って、核戦争が現実味を帯びていた時代でもあった。西側とは、アメリカを中心とした自由主義諸国、日本も所属、東側とは、ソ連がトップの社会主義、共産主義諸国。当時は(戦後からソ連崩壊まで)世界を2分してバチバチだったのだ。文化的にも対立して、その政治的対立に、西洋絵画も巻き込まれていった。東側では、社会主義リアリズム(具象絵画)が主流で、抽象絵画などは弾圧されていた。西側では、抽象絵画を絶賛し、具象絵画の評価が意図的に下げられていた。特に、この評価は、アメリカで顕著で、抽象主義絵画が、純粋芸術として絶賛されていた。が、これが、アメリカ政府のプロパガンダだったということが後に分かる。御用評論家などを使って、具象絵画を貶め、抽象絵画を持ち上げていた。日本も、アメリカの影響を受けて、抽象絵画が大流行りしていた。具象絵画を目指していた画家を批判する評論家も多かったのだ。アメリカを代表する具象画家であるワイエスを、イラストレーターだと言った評論家もいた。芸術ではない、という主張だったが、これには、反発する画家も多かった。抽象絵画は、流行ってはいたが、もちろん具象絵画を追求する画家も存在した。そんなおり、意外な方向から、抽象絵画至上主義へのアンチテーゼが登場する。それが、フォトリアリズムだった。写真をモチーフにした絵画。具象絵画ではあるが、それまでの具象絵画とは、違うアプローチの絵画だった。これには、抽象絵画絶賛の評論家も黙るしかなかった。明らかに新しい世界線の絵画だったからだ。フォトリアリズムは、冷遇されていた具象絵画の反撃とも言われた。当時の空気感を覆っていた抽象絵画至上主義は、ソ連の崩壊と共に、あっけなく消滅する。冷戦終結と共に、プロパガンダも終了した。温暖化もそうだが、政治的プロパガンダで、世界が踊らされることは、良くあるが、それは、決して正しい判断ではないことが多い。抽象絵画が、純粋芸術で、具象絵画は、芸術でさえない、なんて、差別的で歪んだ価値観が、まともではないことは、冷静に考えれば直ぐに分かることだ。その歪んだ価値観を強要してくるのがプロパガンダだ。冷戦終結後は、憑き物が取れたように、美術界は、冷静になっていく。具象絵画も良いよね、フォトリアリズム、面白いな、別に、抽象絵画が叩かれた訳ではないが、抽象絵画一辺倒だった空気感は、終わりを告げた。フォトリアリズムは、スーパーリアリズム、ハイパーリアリズムとなって、世界中に普及していき、とんでもない作品が登場するようになった。日本でも、ハイパーリアリズムの作品は、人気だが、超絶な世界線の絵画になっている。一般的な具象絵画も復活。現代アートも人気で、いろんなジャンルの絵画が、存在するようになった。つくづく思うのは、政治的意図を持ったプロパガンダは、罪だということ。御用学者や、御用評論家には、気をつけましょう。
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