くつしたの片方だけを探してるみたいに今日も許してしまう #短歌
徹夜明けカップ麺から立つ湯気が勇者のマントみたいに揺れる #短歌
再生を押しても音の出ないまま食卓だけが朝を読み込む #短歌
やさしさは正解じゃない それなのに何度もそこに戻ってしまう #短歌
「日傘」を「ちゃんとした傘」じゃないと言う 雨の物差しで測るなよ今日を #短歌
波打ち際しゃがんだあとの靴底に小さな海がついてきている #短歌
水面化ゆっくりほどける青があり そこへ沈めば名前も薄れる #短歌
輪廻とかよくわからないけどまた会えるのならばそれでいいです #短歌
浴衣から着替えたあとの洗面所 耳にまだ夜見世の灯りがある #短歌
傘からの雫ぽたりと落ちるたびレジ前だけが海になる午後 #短歌
飲み込まれそうな光の中で君は死んだあとの話を滑らかにする #短歌
痛いほど私を刻み込んでほしい滲んだ赤い血を舐めとって 短歌
特別なことなどなくて夕暮れに桃の香りが部屋を満たして #短歌
説明書まだ捨てられずに引き出しのいちばん下で夏を隠してる #短歌
やわらかな風にカーテンふくらんで部屋にも海が来たような夜 #短歌
十年も暮らせばここがふるさとで部屋にも海が来たような夜 #短歌
水たまり空のかけらを集めつつ靴の先から夏になってく #短歌
ふわふわの雲をちぎって塗るような気持ちで朝を食べていました #短歌
大丈夫じゃないと言えればいいのだがとりあえず駅まで歩いてゆく #短歌
長いこと部屋の隅にいたものが雨を見ている最後の朝だ #短歌
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