6月に「杉本博司 絶滅写真」展を見た時、時間切れとなってコレクション展を途中までしか見られなかったので、少し展示替えはされたと思うが、この日に行ってみる。
アルバムあります。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?owner_id=2083345&album_id=500000121449616
終戦記念日だ。美術館の周りは警察官とその車両で物物しい雰囲気。入館した時12時になったので、1分とはいかないがその場で黙祷。今は黙祷する人がいないのね、昔は道端でよく見かけたような気がしたけれど。
「杉本博司 絶滅写真」は大盛況、結構混んでいそう。早めに行って正解だったようだ。
ハイライト室では、鏑木清方《墨田河舟遊》がお出迎え。
大阪では、木谷千種《浄瑠璃船》もまた、屋形船の夕涼みの様子を描いていた。納涼舟、乗ってみたい(夫は接待関係で何度も屋形船に乗ったことがあるらしい…)
久々に大好きな徳岡神泉と福田平八郎が登場。
そして洋画では、セザンヌ、クレー、ミロが並び、テンションが上がる。
エルンストと三岸好太郎の並びもいいよね。
やはり「ハイライト」の部屋はワクワクだ。
以下、テーマ別の展示室を渡り歩きながら、気になった作品を紹介していこう。
菊池契月《名士弔葬》
こちらも久々に見た作品。気品があって、素晴らしい場面構成。
右から、十亀広太郎、飯田三吾、甲斐仁代の自画像が並ぶ。まっすぐ正面を見つめる目に画家としてやっていく気概が見える。なかでも、女子のための唯一の本格的な美術学校であった女子美に入学した甲斐の自負はいかばかりだろう。
川上涼花《鉄路》
夭逝して、残る作品が少ないが、好きな異色の画家。この作品を見て、この時代の他の人のようにゴッホに影響を受けているんだなと知っていた。がキャプションを見てハッとする。彼らは、本物のゴッホの絵はおろか、ゴッホの色も知らない、雑誌に載ったモノクロ図版しか見ていないんだった。この色遣いに改めて驚く。
鳥居言人《長襦袢》
鳥居清長の流れを汲む鳥居派八代目ですって。マイミクさんが書き留めていたので覚えていた。太田記念美術館で回顧展があるらしい。
山村豊成(耕花)《「梨園の華」より七世松本幸四郎の助六》
役者絵も、大正時代の新版画となると、とても洗練された感じだ。
福沢一郎《牛》と田中佐一郎《辺土》が並ぶのもまた意味深で…
満州の理想と現実を風刺的に描いた《牛》に、従軍記録画家として大陸へ赴く田中の作品が呼応しているようだ。
近代日本画3人をを比べてみると面白い
竹内栖鳳《宿鴨宿鴉》
うまいなぁ、とひたすらため息の出る作品。近代水墨画の素晴らしさ。ほぼ抽象画だね。中央からやや右に逸れたあたりの梢に留まっているのが鴉、右下に固まっているのが水辺で泳ぐ鴨。
滝和亭《闔家全慶(こうかぜんけい)》
闔家全慶(こうかぜんけい)とは家族全員がそろって平和で幸福であることを祝う言葉で、鶏のつがいと雛を描く。革新的な近代日本画ばかりが目立つが、明治時代後半になっても江戸時代風の絵は好まれ、伝統保守派の画家はたくさんいた。裕福な家からの注文があり、業が成立していたのである。
渡辺省亭《雪中鴛鴦之図》
古典的な絵画を近代的でモダンな写実表現にした渡辺省亭。
加山又造《群鶴図》
現代の琳派といわれている加山又造、気持ちのよい装飾性に目が覚める思い。コマ送りのような鶴の動き、背景が銀箔なのも良い。
8月だからか、戦争関連または連想させる作品が多い気がする。
河原温《洪水期》新収蔵品
歪んだキャンバス、絡み合う木々と瓦、蠢く虫。上部隙間からは青空が見えるが、下部隙間からはドス黒い海。この作品は、九州の大水害という実際の出来事をもとにして描かれた(1955年)というが、なんだかあまりにも時期が合いすぎて(熊本大地震・千葉豪雨)苦しくなった。
古沢岩美《餓鬼》
「兵卒としての私の戦争への総決算的作品」と作者が叫ぶ。山縣有朋の像、傷痍軍人、キツいのは、古沢が兵役中に見聞した戦地の日本軍の行為が描かれていること。この絵が展示できなくなった時がきたら日本はいよいよまずいと思う。
タイガー立石《昭和二十一年筑豊之図》
動けなくなった馬を集団で叩く描写は幼少期の実体験に基づくという。血飛沫でできた日本列島、菊の御紋、戦闘機がポップな画面に散りばめられている。下のベルベッドのカーテンは彼が子供の頃筑豊で夢中になった映画館を思わせる?
奈良原一高《「無国籍地」より》
第二次世界大戦で爆撃を受けた砲兵工廠、奈良原一高の写真は静謐で多弁だ。
草間彌生《冥界への道標》
村上早《まわる》
版画作品。作家にとって、銅板に刻まれた線は「心の傷」、線を埋めるインクは「血」、インクを載せる紙は「ガーゼ(包帯)」だという。
以下の二点も、この日(終戦記念日)にみると、特別な思いがしてきて、未来への漠然とした(いや、明らかな)不安と恐れを感じずにはいられない。
イケムラケイコ《横たわる少女》
ミリアム・カーン《無題》
9月13日まで
アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?owner_id=2083345&album_id=500000121449616
帰り際、美術館の前の道路を「一仕事終えた」右翼の街宣車が静かに走っていたのをみた。
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