mixiユーザー(id:2083345)

2026年08月16日18:22

244 view

8/10 ロン・ミュエク@森美術館

この夏に見たい現代美術といえばこれ。楽しみにしていた。午前中にお墓参りを済ませ、月曜日開館の森美術館へ。六本木ヒルズは夏休みでおこちゃまが多い。森美術館では同じフロアで必ずアニメ系(今回は「星見の回廊」)なので賑やか。ここを通り抜けて、いよいよ不思議空間へ。

ロン・ミュエクは、元、映画、テレビ、広告業界でパペットや模型、小道具を作っていたそうで、その技術を活かして、彫刻に信じられないほど精巧に人間の皮膚や血管、毛穴や毛を再現して作品を作り上げる。

なので、1つの作品が完成するまでに、数か月から数年かかるそうで、これまでに制作された作品総数は現時点で49点しかないらしい。そのうちの11点が展示されるという。そうは言っても11点しかないのだからすぐ見終わるかなと思ったら、あにはからんや。1点1点をじっくり見る、あれこれ想像する時間に加えて、並ぶと20〜30分待ちの作品があったり、長いメイキング映像が面白くてつい腰を落ち着けてしまった。


見終わった頃に続々と人が入ってきて、かなり人気の展覧会。全作品写真撮影可。

アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121464969&owner_id=2083345

https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck/index.html
フォト

ロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ、英国在住)は、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術作家です。人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品は、洗練され、生命感に溢れ、孤独、脆さや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現しています。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展(1997年)への参加で注目を集めて以来、世界各地で個展を開催してきました。日本では、2008年に金沢21世紀美術館で回顧展が開催されて以来、2度目の個展になります。
実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さく造られるその彫刻は、私たちの知覚に対する先入観への挑戦でもあります。同時に、実際に存在していそうであるというリアリティに肉迫する一方で、鑑賞者一人ひとりの解釈や思索を促す曖昧さも残しています。神秘的でありながら圧倒的な存在感を放ち、私たちと身体との関係、そして存在そのものとの関係を問いかけます。
本展は、作家とカルティエ現代美術財団との長きにわたる関係性によって企画されたもので、2023年パリの同財団での開催を起点とし、ミラノとソウルを経て、森美術館で開催されます。大型作品《マス》(2016-2017年)など作家の主要作品を中心に初期の代表作から近作まで11点を展示し、作品の発展の軌跡を深く洞察します。そのうち6点は日本初公開で、特に初期の代表作《エンジェル》(1997年)の出展はまたとない機会になるでしょう。また、フランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、作家のスタジオと制作過程を記録した貴重な写真作品と映像作品も併せて公開し、ミュエクの比類なき彫刻がどのように生み出されるのかを明らかにします。


《枝を持つ女》2009年
裸の女が巨大な枝の束を抱え込もうとしている。背を反らして必死の形相。体には引っ掻き傷がたくさん、なぜ裸なのか、なぜ枝を束ねて抱えているのか、さっぱりわからぬ。
フォト

フォト

顔を向けた方に回り込んでみても、彼女は決して助けを求めていない。手伝ってあげたいような、でも、手伝ってくださいと言われなくてよかった、と安堵する気持ちが交錯してちょっとドキドキする。
フォト

《イン・ベッド》2005年
ベッドに横たわる中年の女性、頬杖をつきながら遠くを見つめる。何か心配事があるのか、元々が不眠症なのか。いや、単に、キッチンの電気を消したかしら…と気になっただけかも。
フォト

フォト

フォト

ただ、異常なのはその大きさ!巨大すぎる。彼女の目の前にズカズカと踏み込んでいってスマホを向けている光景はさらにシュール…つい彼女に肩入れして、ガリバーになった気分だろうなぁと気の毒になる。
フォト

フォト

《若いカップル》2013年
こちらは小さな作品。寄り添う若いカップルは微笑ましい。男の子が女の子に何か囁いているようだ。まるで生きているようにリアルなのに、大きすぎたり小さかったり…その違和感が鑑賞者に観察を深めさせる。
フォト

正面から見たときは、その衣服や靴までが精巧にできていてすごいなぁ、なんてそのことに感心していたが、裏に回ってみたら…
男の子が女の子の手首を強く掴んでる!よく見れば女の子の左手は緊張している。微笑ましい光景が一瞬にして凍りつく。
フォト

顔を見返すと、男の子の表情にやや異常さが現れている。DV男?ストーカー?思わず作品に引き込まれる。
フォト

フォト

《ゴースト》1998/2014年
思春期の少女。自意識が芽生え、心身の成長に追いつかない戸惑い、不安がうまく表現されている。濡れるとずっしりと重かったスクール水着の感触を思い出した。
フォト

フォト

フォト

《舟の中の男》2002年
フォト

この作品の前の大行列は、《ダーク・プレイス》2018年という作品を見るための行列、待ち時間はだいたい30分。中年男の頭部が暗闇の中に浮かぶ作品。↓
フォト

フォト

ただ、他の作品と違うのは回り込んだりして多方向から見ることは不可。この中年男と正面から対峙し、その内面に潜む感情を探ぐることになる…はずが、皆、写真を撮って終わり。笑
フォト

さて《舟の中の男》にもどると。
全裸の男が古びたボートにひとり。漕ぐオールもない。漂い、これからも漂っていくのでしょう。しかし、絶望的な顔はしていない、ゆっくり進むボートの行き先を見つめているように見える。
フォト

フォト

フォト

フォト

《エンジェル》1997年
初期の代表作。
ジョヴァンニ・バッティエスタ・ティエポロ《ヴィーナスと時間の寓意》↓の中の「時間」を表す年老いた天使に着想を得たという。
フォト

展望室となっている展示室にポツンと置かれた小さな天使。立派な羽根を持っているのに、いじけたように頬杖をついて。野口哲哉氏の疲れた武将像を思い出し、可笑しく哀しく。
フォト

フォト

フォト

フォト

《チキン/マン》2019年
私が一番好きな(というより気に掛かった)作品。じいさんがパンツ一丁で食卓の鶏と対峙している。なぜこんな状況になったかわからないが、どちらも動かず、視線を外さず、緊張の時間が続いているようだ。果たしてどちらが口火を切るのか、どちらが退くのか。永遠に動かないことはわかっているが、固唾を飲んで見守ってしまった。どの角度から見ても面白い。
フォト

フォト

フォト

フォト

フォト

《買い物中の女》2013年
交差点で信号待ちをしているのかしら。両手にもつスーパーの袋は日用品でいっぱい、重そうだ。疲れ切った顔は懐の子に視線を送りあやすことすらしない。若い母親を孤独に追い込む都会の暮らし。苦しく切ない。「赤ちゃんを見て、笑って」と声をかけたくなる。
フォト

フォト

フォト

フォト

《マスク�供�2002年
ミュエク自身の眠る顔を約4倍の大きさで再現。毛穴の一つまでもがあまりにもリアルなのだが、他の作品と違って後ろは空洞、これがお面だとわかる。実物のようなリアルさとありえない大きさ、表と裏のギャップで、鑑賞者の脳が刺激される。
フォト

フォト

フォト

最後の作品は、1展示室を丸々使った巨大インスタレーション《マス》2016-2017年
100個の巨大頭蓋骨を制作し、ミュエク自身が展示室に合わせて配置を決めているという。
よく見ると一つ一つが違う。頭蓋骨はアートでは「メメント・モリ」のテーマでよく出てくるモチーフだが、こんなふうに無造作に積み上がった頭蓋骨は見たことがない。鑑賞者たちはこれをバックにスマホで写真を撮りあっているが…大災害、戦争、大量虐殺、これまでも人類が見てきた光景であって、これからも(そして人類最後の日に)見るだろう光景なのかもしれないと思うとゾッとした。改めてタイトルを見ると《マス(Mass)》やっぱり怖い。
フォト

フォト

フォト

フォト

途中、ゴーティエ・ドゥブロンドの写真群が2回挟まれる。これもまた十分に作品で。ミュエクの制作の様子を25年間記録してきたという。
最後にメイキング映像もあり、制作過程がわかってとても面白い。
作品数は11点だけだが、2時間半も滞在した。

9月23日まで

アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121464969&owner_id=2083345


23 16

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年08月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031