8月10日月曜日、快晴。ほんのわずかだけど涼しい。
今日は午後3時開演の芝居を観に赤羽へ行く予定が入ってる。
知人が主演ゆえに、彼から電話を受けた上でパンフが送られてきた。公演内容を知るに至って、義理で行く、のではなく、ぜひ観たいというワクワク感を覚えた。
私は前頭葉の一部が干からびているため、10人20人と登場人物が入れ替わり立ち替わり登場してくる芝居が苦手なのだが(とりわけ海外系)、今回は「ふたり芝居」、それも男と女なので、間違えようがない(笑)。
80年代の終わり頃、ニューヨークで「ラブレターズ」という芝居がヒットした。その日本版を作ろう、という意図から、同級生ふたりの往復書簡によって物語が展開していく。14歳から70歳までのふたりの人生を語る物語だった。
主演男優が知人で、彼からパンフが送られてきた時点で、私は義理ではなく本心から観たいと思った。
「ラブレターズ」は、かつてテレビでも何話かの日本オリジナル書簡ドラマとしてフジテレビが深夜枠で放映していた。当時の私は出版社に勤務していて、テレビで見る番組は深夜に放送されているボクシング中継とF1くらい。が、偶然のように「ラブレターズ」を知って、毎回、観ることができた。ちなみに当時の帰宅は夜10時から11時半だった。
この朗読芝居はツボにはまった。
全何話だったかわからないが、その脚本(ほん)は双葉社から出たので、当然買って読んだ。鎌田敏夫編だった。
芝居は赤羽の小さな小屋で開催される。
午後3時の部なので、鎌倉駅を午後1時発の電車。
パンフに記された地図では、赤羽駅から徒歩15分ということだったが、20分を超え、着いたら開演10分前だった。
90分の上演時間中、何度も胸を熱く焦がすほどの感動や共感を覚えた。
この芝居はぼくのために書かれた、とさえ思えた。
作・演出家のプロフィールを見ると、私より3つ年下の芝居屋で、経歴でも自分と重なるところがあって、親しみを覚えた。
自分には珍しく、アンケートを書いて脚本家と俳優さんおふたりを激賞した。
芝居が終わっても興奮冷めやらず。赤羽の街も妙に自分の感性と合っていて、こんなに素適な一日を過ごせた幸福感に酔ってしまった。
8月11日、台風が関東を直撃との予報。夕方時点で鎌倉は一滴の雨粒も落ちてこない。
午後イチ、スマホを買ったはいいけどまだ電話を掛けるのもかなわぬかたの豪邸に行って、使い方を1時間半ばかり伝授した。遠慮されながら家の簡単な補修を頼まれたので、「ようござんす」と便利屋さんに変身してみた。
人間は誰かの役に立ってなんぼ、だというのが持論で、しかし私は役立ちそうな技術のないことが羞恥心に繫がっている。すみません、お馬鹿で、って感じ。
なので、スマホの基本使いとか、おうちの補修とか。そんなちっぽけなことで喜んでもらえると、昨日とは違うリア充を感じられる。
朝食後、珍しく高校野球を30分ほどテレビ観戦。大学の友だちとccメールでよしなしごとを伝え合っているのだが、うちひとりが秋田県立横手高校卒で、応援を頼むと言われたものだから。
残念ながら大敗してしまった。
で、全集の編集から一時的に解放されたものだから、庭の草むしりをしながら「一応健気に生きてます」感を自己演出。セミの抜け殻を見つけてしげしげと眺める。こういう何も考えていない時間は楽しい。無になれる。
昨今の政治とか社会とか、遠くから眺めているだけで性格がどんどんと悪くなっていく。悪貨は良貨を駆逐する、というが、そのとおりだな。こんなご時世だと、自分を無にすることが最適解だと、日々しみじみ思う。
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