まだ来ない春を待つ手のひらの上 やさしく揺れるひとつの甘え #短歌
なんも書いてないのに持ってきちゃったね でもそれでいい気もしてる #短歌
まあいいかってほんと難しいよね 曇ってずるいくらい軽いしさ #短歌
世界には終わりがあると知ったあと それでも甘いものを選んでる #短歌
このままでいいって思うのってさ変わってる途中なのかもね #短歌
頁ごと少しずつほどけていく夜 わたしの外へわたしがひらく #短歌
ほんとうは言葉にしたいはずなのに音のほうだけ遠くへ届く #短歌
どれを選んでも途中ぽいのいいよね ちゃんと続きがある感じでさ #短歌
机上には誰も触れない正しさがうすく積もって夜を冷やした #短歌
レシートの裏に書けないひとことがポケットの奥でまだ甘いまま #短歌
忘れるって優しい機能だと思うんだ でもときどき眩しすぎるよね #短歌
ねえこれが時間だなんて変だよね さっきのぼくにもう会えないなんて #短歌
何ひとつ届いていない机上にて全然という語だけが冷える #短歌
書き直さなくてもいい月ってあるよね そのままのぼくで歩ける夜 #短歌
なんでだろうって言う係を引き受けて笑う役だけきみはうまいね #短歌
やわらかく月の気配が降りる夜 名もないものに名前をあげる #短歌
玄関の灯りだけある夜でいい 言葉のないまま靴をそろえる #短歌
対義語になることさえも許されず光のなかで影だけ伸びる #短歌
書かないでおいた部分がいちばんの物語だとあとからわかる #短歌
遅れてもいいと誰にも言われずに雲の速さをただ見送った #短歌
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