対義語になるまでのあいだまばたきの裏でやわらかく崩れていくもの #短歌
拾うたびやさしくなった輪郭を夜の静けさにそっと並べる #短歌
きらきらのはしっこに立つぼくたちはあしたのことをちょっとこわがる #短歌
ポケットにしまった今日のひとかけら伏線みたいにあたためている #短歌
だいじょうぶって言いながらもあるいてるちょっとだけ遠いところへいこう #短歌
ポケットにしまえなかった温度だけ帰りの道でそっとゆれてる #短歌
ほどけてく重さのぶんのやさしさが指のあいだでこぼれていった #短歌
返した手ちょっとだけ冷えていたよね それがぜんぶだってわかる夜 #短歌
言葉とは手放すことで輪郭を得るものだから遠くで燃える #短歌
乾かないシャツの重さを抱えつつ だれでもない日がまだ終わらない #短歌
ゆるやかに過去へ流れる体温をコップの水がひとり見ている #短歌
目的地はあとづけできる装置でキスだけが先に現実になる #短歌
ねえきっと守られてるって知らないね 膜のむこうで笑ってる君 #短歌
骨の音ひとつ内側に抱いたまま夜を渡れば星も静まる #短歌
許可という精度がここでは壊れてて時間だけが正確に進む #短歌
まだ白い物語のはじまりで騎士の背中に春がふれてる #短歌
感情は保存できない熱だから ぼくらは恋を会話に変える #短歌
消えないでほしいわけではないけれど置いた指先だけがまだあたたかい #短歌
まばたきの隙に差し込むやわらかさ あれはたしかに春のひかりだ #短歌
やさしさに似たかたちして近づいて触れればすこしこわい輪郭 #短歌
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