背に負ったものの重さを知らぬまま同じ机で朝を迎えた #短歌
ポケットにしまいきれない名がありて 祈りのひかり静かに灯る #短歌
名前ってつけたとたんに逃げそうで闇のなかだけ光っている #短歌
春なんて折れた枝から生えてきて春のひかりにふるえつづけろ #短歌
切符にはまだ昨日の温みあり 胸の奥まで時差を運んで #短歌
呼ばないで守っているものがあり冬はそれでも静かに過ぎる #短歌
まだ誰も知らない空に置いてきた きみのひかりがつくってる朝 #短歌
ぼくらには沈默という発明があり 電車はそれを運ぶ装置だ #短
乾ききる前の静けさを抱いたまま ひとしずくずつ明日へ滲ます #短歌
指先の夜ってどこまで夜だろう 朝がそーっと受け取りにくる #短歌
影という予告編が先にあり 本編としてのぼくが遅れる #短歌
まだ知らない単位で空は離れてく青のむこうで名前を呼んで #短歌
存在は重さとして届くものぼくらはそれで自分を知った #短歌
物わかりのいい消費者の顔をして春の値札をそっと裏返す #短歌
言えないをそっと机に置いておく 春がそれらを芽にするまでは #短歌
白皿にふと落ちてくる夕暮れに言い訳ひとつ洗えば消える #短歌
まだいいよって誰かが言った気がしてる 芽もわたしも春のまんなか #短歌
ポケットのぬくさを確かめながらひとりという服また着て帰る #短歌
知らない部屋という概念の内部でぼくは丸くなる実験をする #短歌
白皿にふと落ちてくる夕暮れに言い訳ひとつ洗えば消える #短歌
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