ゆらゆらとちいさな羽がふるえてる だれも知らないそらをさがして #短歌
言わなくてよかったことの置き場所を探して夜のコップを洗う #短歌
椅子の上 気配が先に座っててあとからそっとぼくを置いたよ #短歌
うなずきのあとで世界が静かなら ぼくの言葉はどこに置こうか #短歌
ひっぱればきゅっと鳴りそう夜の糸 ワゴンのすみでぼくは静止画 #短歌
選ばれぬほうのわたしで歩く夜 光だけには名をつけておく #短歌
揺れる火を名簿の外に置いたまま 夜の机に指をひらいた #短歌
土の奥まだ呼ばれないかたちあり 理由の熱をのせる掌 #短歌
同じ湯に沈めたはずのさびしさが月をまねしてまた浮いている #短歌
ポケットに標準装備の痛みあり通知の音を机で待った #短歌
内向きの言葉のそばで芽が止まる 春は静かに息をひそめる #短歌
消しゴムのふわっとした雪あつめたらぼくじゃない字がちょっと笑った #短歌
触れたのは春だったのか舌の先 ほどける空をまだ飲みこめず #短歌
まぶたあけ指に残った夜をみる 朝の白さへ静かに返す #短歌
抗議するつもりの声を置く机 吉本の名が少し重たい #短歌
春なのにポケットの中冷えたまま待つという字をなぞる手袋 #短歌
まぶた閉じ配信外の夜を聴く 沈黙だけがそっと流れる #短歌
言葉よりワンテンポだけ遅い影 よるのコップにちゃぷんと入る #短歌
指あとにやわらかくある闇ひとつ 光はそこに息をつづける #短歌
へんじないみずってちょっとずるいよね ゆれたぶんだけよるがふえるよ #短歌
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